1996 Fiscal Year Annual Research Report
側鎖のβ-位に官能基をもつ芳香族1,3-ジケトンの光化学反応
Project/Area Number |
08640668
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
吉岡 道和 埼玉大学, 理学部, 教授 (60008828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊倉 成和 埼玉大学, 理学部, 助教授 (50008843)
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Keywords | 光化学反応 / 光環化 / 1,3-ジケトン / ベンゾシクロブテノール / シクロプロパン-1,2-ジオール / イソプロピリデンベンゾシクロブテン / ベンゾシクロブテノン |
Research Abstract |
側鎖のβ-位にカルボニル基,水酸基,アセトキシ基をもち,芳香環のオルト位にメチル基,エチル基,イソプロピル基をもつ芳香族ケトンを合成し,それらの光化学反応および生成物の化学反応性を検討した。 (1)β-位にケトン基やエステル基をもつ化合物の光照射では,ベンゾシクロブテノールが収率よく生成し,その熱分解反応によりベンゾシクロブテノンが容易に合成できることを見いだした。 (2)β-位に水酸基をもつ化合物の場合には,光照射により芳香族ケトンの酸素原子がγ-水素とβ-水素を競争的に引抜き,ベンゾシクロブテノールとシクロプロパン-1,2-ジオールが生成した。 (3)水酸基やアセトキシ基をもつ化合物の光照射からは酸ジアステレオマ-の関係にある2種のベンゾシクロブテノールが単離された。ベンゾシクロブテノールは一般に熱に対して不安定で加熱により原料ケトンに戻るが,本研究で得られたベンゾシクロブテノールは150℃前後でジアステレオマ-間の相互変換が起こる。 (4)水酸基やアセトキシ基をもつ化合物の光照射で得られたケンゾシクロブテノールをパラトルエンスルホン酸存在下,ベンゼン中で加熱するとイソプロピリデンベンゾシクロブテノンが好収量で生成した。イソプロピリデンベンゾシクロブテノンの新しい簡便な合成法である。 (5)オルト位にイソプロピル基をもつ芳香族ケトンの光照射では,2,2-ジメチルベンゾシクロブテノールが得られ,その熱分解反応ではC1-C2結合の解列とC2メチル基からC1炭素への水素原子の移動が協奏的に起こりオルト位にイソプロピリデン基をもつ芳香族アルコールが得られた。
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