1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640682
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北川 敏一 京都大学, 工学研究科, 講師 (20183791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 賢一 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026358)
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Keywords | フラーレン / 炭化水素塩 / ベタイン / カルボカチオン / カルボアニオン / シクロプロペニリウムイオン / トロピリウムイオン / 電気伝導性 |
Research Abstract |
1.フラーレン骨格を持つ炭化水素塩の合成と物性 炭化水素としては極めて高い安定性を持つことが知られているカルボアニオンであるt-BuC_<60>^-(1^-)と、Huckel系安定カルボカチオンであるトリ(グアイアズレニル)シクロプロペニリウムイオン(2^+)の組み合わせにより、フラーレン骨格を持つ塩1^-・2^+を合成した。これは、今日までに6例しか知られていなかったイオン結合性炭化水素(炭化水素塩)の新しい合成例であり、3次元π共役系であるフラーレン骨格を持つものとしては最初の例である。可視、近赤外、赤外、NMRスペクトルにより、炭化水素塩1^-・2^+の構成イオンは、電荷移動や炭素-炭素結合生成を起こさず電荷分離した状態で存在していることが確認された。また、この炭化水素塩のDMSO溶液中は、通常の炭化水素では見られない電気伝導性を示した。以上の結果から、フラーレンの高い電子親和力を利用してイオン結合性炭化水素を合成可能であることが示された。 2.フラーレン骨格を持つ炭化水素ベタインの合成の試み 上述の結果をベタイン(分子内塩)へ発展させるため、C_<60>アニオンとトロピリウムイオンを剛直な炭化水素スペーサーであるp-フェニレン骨格で架橋したベタイン[^-C_<60>-C_6H_4-C_7H_5(t-Bu)_2^+]の合成を試みた。このベタインの前駆体である[HC_<60>-C_6H_4-C_7H_6(t-Bu)_2]を、3,5-ジ-t-ブチルトロピルフェニルブロミドから調製したグリアニル試薬とC_<60>との反応により合成したが、生成物の安定性が低いため、現在高純度の試薬を十分な量得るための合成事件を継続中である。今後、得られた前駆体の脱水素により目的のベタインを合成し、その物性を検討する。
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