1996 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン関連物質のモデル分子の合成と物性に関する研究
Project/Area Number |
08640683
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 毅 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10201443)
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Keywords | フラーレン / 曲面上を共役する分子 / 高歪み分子 / アリールアセチレン / 蛍光特性 / ホストーゲスト化学 |
Research Abstract |
フラーレンやカーボンナノチュブの特性は曲面上を三次元的に共役したπ電子系を持つことに因ると考えられる。しかし、そのようなπ電子系の基本的な性質は未だ明かではない。そのため簡単なモデル分子、特に円筒状の共役系を持つ小分子の合成が待たれていた。ベンゼン環のパラ位をアセチレン結合で繋いだ環状オリゴマー(cyclic [n]paraphenylacetyleneと呼ぶことを提唱)はそのベンゼン環が歪みによって環平面に対して垂直に立ち、円筒状の構造をとることが予想された。報告者はこの分子がモデルとして適当と考え合成を検討した結果、環状6、および8量体の合成に成功した。本年度は、 1)環状6、および8量体の性質について検討し、環構造をとることによる歪みの影響によりスペクトルデータに特徴的な変化が見られること、特に直鎖状オリゴマーに比べて蛍光の量子収率が低いこと、Stokesシフトがかなり大きいことなどを明かにした。ただし化合物の不安定性から結晶構造やホストとして性質を十分検討するには至らなかった。 2)同様の合成手法をもちいて、これまで未知であった[2.2.2.2]-および[2.2.2]metacyclophanepolyyneの合成に成功した。 3)低原子価チタンによるカップリング反応を用いた前駆体大環状化合物の合成をさらに検討し、DME-toluene系溶媒を用いることで、化合物の選択性・収率が大きく改善されることを見い出した。 今後これら3点をさらに検討し、新しいπ骨格をもつこれら分子の性質を明かにしてゆく計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takeshi Kawase: "[2.2.2.2]Metacyclophane-1,9,17,25-tetrayne" Angewandte Chemie Internal Edition in English. 35・13/14. 1556-1558 (1996)
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[Publications] Takeshi Kawase: "Cyclic[6]-and[8]paraphenylacetylenes" Angewandte Chemie Internal Edition in English. 35・22. 2664-2666 (1996)