1996 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性な二重螺旋クラウンチオエーテル遷移金属錯体の合成と不斉識別
Project/Area Number |
08640720
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
吉田 壽勝 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (50029443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 龍雄 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (90151795)
安達 知浩 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (20079057)
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Keywords | 光学活性 / クラウンチオエーテル / 遷移金属錯体 / 二重螺旋 / 不斉識別 |
Research Abstract |
研究計画に記載した方法によりC_2軸性不斉を持つ(R)-1,1'-binaphthyl骨格を2つあるいは1つ有する光学活性クラウンチオエーテル配位子(R,R)-Binaph_2Me_4[18]S_4(1)および(R)-BinaphMe_6[17]S_4(2)の合成を完了し、その合成法を確立した。 2-メトキシエタノール還流下、(R,R)-1とK_2[RuCl_5(H_2O)]との反応で、trans-RuCl_2{(R,R)-Binaph_2Me_4[18]S_4}(3)を収率78%で得た。X線結晶構造解析の結果、3の構造は2つのCl原子がaxial位にtrans配位し、equatorial位に(R,R)-1配位子が4つのS原子のlone pairがequatorial平面に対してup-down-up-down配座で配位するOh構造で、freeの(R,R)-1の構造に相似したP-helicityを有する二重螺旋構造をとる。一方、(R)-2とK_2[RuCl_5(H_2O)]との同様の反応は、trans-RuCl_2{(R)-BinaphMe_6[17]S_4}(4)を収率88%で生成した。4は(R)-2配位子がup-down-up-down配座をとるC_2対称とup-up-up-down配座をとるC_1対称の2つの異性体の混合物(C_2/C_1-isomer=1/2)で、C_2およびC_1-isomerの生成比はaxial配位子に依存する。エタノール還流下、4を過剰のKIと反応させるとアニオン交換に伴って立体配座が変化し、C_1対称のtrans-RuI_2{(R)-BinaphMe_6[17]S_4}(5)のみを収率96%で生成した。5の構造はX線結晶構造解析により(R)-2配位子がup-up-up-down配座をとるOh構造でP-helicityを持つことを明らかにした。また、4をアセトニトリル還流下、2当量のAgBF_4で処理するとup-up-up-down構造のtrans-RuCl(CH_3CN){(R)-BinaphMe_6[17]S_4}}BF_4(IR(ν_<CN>)2260cm^<-1>)が得られた。同様に、アセトン還流下、CO(3kg/cm^2)との反応はtrans-RuCl(CO){(R)-BinaphMe_6[17]S_4}BF_4(IR(ν_<CO>)1980cm^<-1>)を与え、3から誘導されるtrans-RuCl(CO){(R,R)-Binaph_2Me_4[18]S_4}BF_4(IR(ν_<CO>)1960cm^<-1>)との比較により(R)-2配位子の電子供与性が(R,R)-1配位子より小さいことが示唆される。 エタノール還流下、(R)-2とRhCl_3(H_2O)_3との反応はtrans-RhCl_2{(R)-BinaphMe_6[17]S_4}Cl(6)を収率81%で生成した。X線結晶構造解析の結果、Rh錯体bの構造はRh錯体5と異なり、up-down-up-down構造でP-helicityを持つ。(R,R)-1とRhCl_3(H_2O)_3との同様の反応はfreeな(R,R)-1の構造に従って、Ru錯体3と同じくP-helicityを有する二重螺旋構造のtrans-RhCl_2{(R,R)-Binaph_2Me_4[18]S_4}Cl(7)を収率84%で与えた。ヘリカル不斉場での不斉識別による不斉増殖の可能性を調べるため、AgBF_4存在下、Rh錯体6および7を触媒としてPhCOMeのPh_2SiH_2による不斉ヒドロシリルを行い、それぞれ(S)-および(R)-PhCH(OH)Meを光学収収45%eeおよび61%eeで得た。
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