1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640723
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 工学部, 助教授 (70188621)
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Keywords | 大環状錯体 / 貴金属錯体 / 二核錯体 |
Research Abstract |
本研究では低原子価遷移金属が複数取り込まれた大環状錯体の合成を行うことを目的としている.本年度はまず貴金属を取り込む大環状配位子を設計し合成することから始めた.貴金属を安定に取り込むサイトとしてvan Kotenらによって開発された2,6-ビス(アミノメチル)ベンゼンのユニットの利用を考え,このユニットを2つ含む大環状配位子を設計した.この環状配位子の合成のため,まず1-ブロモ-2,6-ビス(ブロモメチル)ベンゼンを2-ブロモ-m-キシレンとNBSの反応で合成した.得られたトリブロモ化合物と各種のジアミンをモル比1:1で反応させて,両ユニットが2モルづつ交互に縮合した環状化合物を合成することを検討した.ジアミンとして1,3-ジアミノプロパンとその誘導体について検討したところ,N,N'-ジメチル-1,3-ジアミノプロパンを用いてアセトニトリル中で反応させた場合に目的の20員環大環状化合物が得られることがわかった.反応条件の最適化をはかり,収率30%で目的物を得る条件を確立した.得られた化合物は当初NMRによって同定を行ったが,トルエン中で再結晶を行うことである程度の大きさの結晶が得られたため,X線解析も行った.この解析はまだ不完全ではあるが,意図した環状構造となっていることを確認した.この配位子にエーテル中で金属リチウムを作用させてリチウム錯体を得て,現在これにパラジウム(II)錯体を反応させ,2核パラジウム錯体を合成する実験を行っているところである. 以上本年度の研究では新規20員環大環状配位子の合成法を確立し,構造を決定することができた.次年度最終目的物であるパラジウムや白金錯体の合成を完成させたいと考えている.
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