1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640723
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Research Institution | Seikei University, Department of Industrial Chemistry |
Principal Investigator |
坪村 太郎 成蹊大学, 工学部, 助教授 (70188621)
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Keywords | 大環状錯体 / 低原子価化合物 / パラジウム錯体 / 白金錯体 / 蛍光 / 消光 |
Research Abstract |
本研究では低原子価の大環状錯体を用いて新たな光化学反応系を構築することを最終目的として以下の研究を実験を行った.遷移金属の低原子価錯体が長寿命のものも多く光化学反応試剤や光触媒としても多くの可能性があると考えたことと,大環状錯体がしばしば特異な性質を持つことから,大環状錯体で低原子価貴金属を有するものが合成できればその性質は大変異味深いと考えたのが発想の根底にある.この目的を達成するために以下の実験を行い2年間で三つの成果を得た. 新規な大環状錯体の合成とその性質 フラン環を有する18員環大環状錯体の構造は中心金属の種類に依存して大きく変わること,ルビジウムを用いた場合はクラブサンドイッチ型構造の錯体が得られることがわかった.また三脚状配位子を用いる新規錯体の合成も行った. ホスフィンキレートを有する低原子価錯体の光化学 binap(1,1'-ビスジフェニルホスフィノ-2,2'-ビナフチル)を有するPts(0)錯体は7員環キレートを有する低原子価錯体であるが,空気中でも安定で可視域に吸収を有するなど,特徴的な錯体である.この錯体の蛍光のアルキルハライドによる消光過程を調べた結果,比較的還元されやすいアルキルハライドの場合は,白金錯体の電荷移動励起状態からの電子移動が最初に起こることを見いだした.また,この錯体やピス(ジフェニルホスフィノ)メタンを有する2核パラジウム(0)錯体はアルコールと光照射下で反応し,酸化生成物であるアルデヒドやケトンを生じることがわかった. 新規貴金属含有大環状錯体の合成 昨年1-ブロモ-2,6-ビス(ブロモメチル)ベンゼンと1,3-ジアミノプロパンをモル比1:1で反応させて,両ユニットが2モルづつ交互に縮合した環状化合物を合成することに成功したが,本年はこれをリチウム化し,更にパラジウム錯体とすることを行った.n-ブチルリチウムとの反応に引き続きジクロロ(シクロオクタジエン)パラジウム(II)と反応させることで2核大環状化合物を得ることに成功した.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Ito,T.Sato, K.Sakai, and T.Tsubomura: ""Triple-Decker Sandwich Structure of a New Rubidium (・) Tetraimino Macrocyclic Complex."" Chem.Lett.1996. 619-620 (1996)
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[Publications] T.Sato, H.Takeda, K.Sakai,and T.Tsubomura: ""Two Novel Types of Metal Complexes derived from Tripod Amines and Acetylacetone."" Inorg.Chim.Acta,. 246. 413-421 (1996)
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[Publications] K.Sakai, Y.Yamada, and T.Tsubomura: ""Synthesis and Crystal Structures of Ruthenium Complexes of 1,4,8,11-Tetraazacyclo-tetradecane,Tris (2-aminoethyl)-amine, and Bis (2-aminoethyl) (iminoethyl) amine."" Inorg.Chem.35. 3163-6172 (1996)
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[Publications] Taro Tsubomura and Ken Sakai: ""Photochemical Reactions Of Palladium (0) and Platinum (0) Phosphine Complexes"" Coord.Chem.Rev.(印刷中). (1998)