1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンでゲストが自在に捕捉、放出される自己集合カプセル型ホスト分子の構築
Project/Area Number |
08640744
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武村 裕之 九州大学, 理学部, 助手 (60183456)
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Keywords | ホストーゲスト化学 / 分子認識 / 機能性物質 / アザカリックスアレーン / アザシクロファン / 大環状化合物 |
Research Abstract |
アザカリックスアレーンを用いたカプセル型分子に金属捕捉部位をもうけ、金属イオンの添加、除去により構造を変えてゲストの捕捉と放出をスイッチのオン、オフのように行えるホスト分子系を設計、合成するためにどのような側鎖が導入可能かを合成的に検討した。また,アザカリックスアレーンの基本構造を確認するための基礎的な研究を行った。すなわち芳香族,脂肪族アミンを原料としてまた,官能基の存在で,目的とする環状物質が得られるかどうかを検討した。 p-xylyl架橋アザカリックスアレーンについてX線結晶解析を行い詳細な構造の情報を得た。これにより,アザカリックスアレーンの基本骨格がコーン型であることを確認し強い水素結合の原因が水酸基と窒素原子との間で起こることを確認した。 N-メチルアザカリックスアレーンの溶液中での構造をNMRスペクトルにより検討した。結果として溶液中で2種類の構造をとることが明らかとなり,カプセル型分子を構築する上で重要な情報となった。 新しい試みとして,ベタイン構造を有するtriazacalix|3|areneを目標とし,合成研究を行った。これはアミノ酸などをゲストとして認識することが期待され,また構造的にも全く新しいタイプのホスト分子として興味深い。 2分子集合によるカプセル型分子を期待して金属と錯形成する側鎖(2-,3-,4-ピコリル)を持ったアザカリックスアレーン類を用いて検討した結果,水酸基の保護を行う必要があることが分かった。 以上のように本年度はカプセル型分子の構築に必要な合成的,構造的データを蓄積することができた。
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