1996 Fiscal Year Annual Research Report
キラルなα,α-ジフルオロガルボニル化合物の新規合成中間体の開発
Project/Area Number |
08640757
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
伊藤 敏幸 岡山大学, 教育学部, 助教授 (50193503)
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Keywords | 新規キラルα,α-ジフルオロラクトン / ラジカル環化反応 / α,α-ジフルオロエルダノリド / リパーゼ不斉加水分解 / 不斉合成 |
Research Abstract |
本研究ではキラルなα,α-ジフルオロカルボニル化合物の新規合成中間体の開発を行うため,以下の項目について研究を行った。 (1)キラルα,α-ジフルオロラクトンの合成 シリルアセタール経由による分子内ラジカル環化反応をKey wordにキラルα,α-ジフルオロクラクトンの合成を検討した。リパーゼ不斉加水分解によって合成したキラルなアリルアルコールを,α-ブロモ-α,α-ジフルオロ酢酸エステルに導き,ついでシリルアセタール化を行い,ラジカル環化反応に供することで,天然γ-ラクトンの新規ジフルオロアナログであるα,α-ジフルオロエルダノリドの不斉合成を達成した。来る第70日本化学会春季年会で発表し,これまでの成果をフルペ-パ-として公表するため現在原稿を作成中である。 (2)分子内に複数のジフルオロメチレン基を有するγ-ラクトンの合成 上記の方法論をさらに拡張し,さらに2種の新規γ-ラクトンとして,(a)α位にジフルロメチレン基,β位にジフルロメチル基を有するラクトン,(b)α位にジフルロメチレン基,δ位にジフルロメチレン基を有するラクトンの合成を試みた。現在,それぞれの合成法に目処が付いた段階であり,最初の成果を,来る第70日本化学会春季年会で発表する予定である。 (3)α,α-ジフルオロラクタムの合成 α-ブロモ-α,α-ジフルオロ酢酸アミドの場合は,エステルと異なり,分子内ラジカル環化が起こることがわかったが,副反応のため収率が低く,現在さらなる反応条件を検討中である。 なお,研究経費で購入できたフーリエ変換赤外分光光度計は,微量の生成物の構造解析に威力を発揮し,本研究を進める上で非常に大きな貢献をした。
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[Publications] Itoh,T. ; Takagi,Y. ; Tsukube,H.: "Review : Synthesis of Chiral Building Blocks for Organic Synthesis via Lipase-Catalyzed Reaction ; New Method of Enhancing Enzymatic Reaction Enantioselectivity" J.Molecular Catalysis B : Enzymatic. (in press.). (1997)