1997 Fiscal Year Annual Research Report
イオン交換樹脂懸濁液導入/黒鉛炉原子吸光法による痕跡元素の定量
Project/Area Number |
08640763
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大関 邦夫 弘前大学, 理工学部, 教授 (30001845)
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Keywords | イオン交換樹脂 / ピロリジンジチオカルバミン酸錯体 / 固相抽出 / 樹脂懸濁液 / 黒鉛炉原子吸光法 / 鉛イオン / カドミウムイオン / 水道水 |
Research Abstract |
水道水中の痕跡量の鉛とカドミウムをピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム(以下APDCと略す)を用いて,少量の微細なイオン交換樹脂に抽出し,黒鉛炉原子吸光法で定量する方法を確立した。操作の概要は以下の通りである。水道水150mlに塩酸を加えてpH2とした後,陰イオン交換樹脂懸濁液(Dlalon PA318,粒径30μm以下,交換容量5.4μequiv./ml)4.0ml,20mM APDC1.5ml,3M過塩素酸ナトリウム1.5mlを順次加え,1Mクエン酸ナトリウム1.5mlを加えてpH6に調整する。10分間撹拌した後,吸引ろ過により,イオン交換樹脂をメンプランフィルター(ニトロセルロース製,孔径0.45μm,直径25mm)に捕集する。次に,樹脂を保持したフィルターを10mlビーカーに移し,100ppmのパラジウム(II)を含む0.1M塩酸1.0mlを加え,1分間超音波照射して,樹脂を分散させる。得られた懸濁液をオートサンプラー用の容器に移し,20μlを黒鉛炉に導入し,鉛及びカドミウムを定量する。微細なイオン交換樹脂とAPDCを用いることにより,鉛とカドミウムを同時に150倍濃縮することができた。さらに,イオン交換樹脂とパラジウムをともに含む試料を黒鉛炉に導入すると,鉛の灰化温度を900℃と高く設定できることが明らかとなり,精度の高い測定が可能となった。水道水からの鉛とカドミウムの回収率は定量的であり,検出限界はそれぞれ,5.7及び0.17ppt(ng/l)となった。実験室に供給されている水道水を10日間連続して測定した結果,鉛及びカドミウムの濃度は,それぞれ,136±12及び6.52±0.75pptであった。
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