1996 Fiscal Year Annual Research Report
不足当量分離と質量分析を組み合わせた新しい同位体希釈分析法の開発
Project/Area Number |
08640765
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井村 久則 茨城大学, 理学部, 教授 (60142923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
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Keywords | 不足当量分析 / 不足当量分離 / 不足当量抽出 / 不足当量同位体希釈質量分析 / 同位体希釈分析 / 質量分析 / 鉄 / 協同効果 |
Research Abstract |
同位体希釈質量分析法(IDMS)は検量線や比較標準を必要としない極めて精度,正確さの優れた分析法であり,基準分析法(definitive method)として位置づけられている。最近,誘導結合プラズマ(ICP)MSやマイクロ波誘導プラズマ(MIP)-MSを用いたIDMSによる微量金属の定量が行われるようになってきたが,スピクトロメータ内の質量差別効果のために正確な同位体存在度の決定は容易ではない。本研究では,不足当量分離法とIDMSを組み合わせることによって,次のような優れた特徴をもつ不足当量同位体希釈質量分析法(SIDMS)を提案した。(1)ただ1つの同位体を測定すればよいので,質量差別効果の補正を要しない。(2)高価な濃縮同位体の使用を避けることができる(3)任意の内標準元素が利用できる。対象元素として鉄を選び,まず微量のFe^<3+>の不足当量抽出法の検討を行った。キレート抽出試薬として,トロポロン,β-イソプロピルトロポロン,N-ベンゾイル-N-フェニルヒドロキシルアミン,N-シナモイル-N-フェニルヒドロキシルアミンを選び,また,水素結合による協同効果を利用するためにプロトンドナーとして3,5-ジクロロフェノールを添加して,Fe^<3+>の不足当量抽出を検討した。β-イソプロピルトロポロンが最も良好な結果を与え,1μg ml^<-1>程度のFe^<3+>を高い再現性で不足当量抽出できた。この不足当量抽出系をMIP-MSを用いたSIDMSに適用した。スパイク用の濃縮同位体として,^<54>Fe,0.05%;^<56>Fe,99.87%;^<57>Fe,0.07%;^<58>Fe,0.006%を用い,提案した式に基づいて^<54>Feと^<59>Co(内標準)の計数率を測定し。鉄の高精度で正確な定量ができることを確認した。
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Research Products
(1 results)