1996 Fiscal Year Annual Research Report
クロマトグラフィー分離の極限:同位体が作るキラリティーの識別
Project/Area Number |
08640772
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 信男 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60127165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細矢 憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00209248)
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Keywords | 光学異性体分離 / キラル分離 / 同位体キラリティー / セルロース固定相 / 重水素化フェニル基 / 液体クロマトグラフィー / 同位体分離 |
Research Abstract |
同位体が作るキラリティーに基づく分離、例えば、水素と重水素の存在がキラリティーを作っている鏡像異性体の間の分離は、極限的に困難な分離である。最近まで、このような異性体の識別はNMRによる検出に限られ通常の分離手段の対象とはならないものと信じられてきた。本研究においては、第一段階として(1)キラル炭素上のフェニル基と重水素化フェニル基の存在が作る同位体キラリティーを、同一分子内の隣接キラリティーによって識別すること、すなわち同位体キラリティーを含むジアステレオマ-を逆相クロマトグラフィーによって分離すること、第二段階として(2)キラル炭素上にフェニル基と重水素化フェニル基をもつ鏡像異性体を直接的にキラル固定相により分離することを試み、初めてこれらの識別に成功した。 (1)methyl 3-phenyl-3-pentadeuterophenylglycidateについて、疎水性のODS固定相を用いて分離を試み25回以上のリサイクルを経て、分離係数1.0057を与える分離を得た。この分離係数は、methyl 3,3-di-phenylglycidateとmethyl 3,3-di(pentadeuterophenyl)glycidateの与える分離係数の約11%に相当した。 (2)phenyl(pentadeuterophenyl)methanolについて、セルロース誘導体をシリカゲルにコートした固定相を用いて、直接的な分離を試み、60サイクルのリサイクルにより分離係数1.0080の分離を得た。この直接的な同位体キラリティの識別においては、ジアステレオマ-の分離における分離係数より大きな分離係数が得られた。キラル固定相の理論段数は逆相クロマトグラフィー用充填剤の理論段数よりはるかに低いので、より多数回のリサイクルが必要であった。この結果は、キラル固定相にフェニル基と重水素化フェニル基を識別する部位と識別しない部位とが隣接して存在することを示しており、今後のキラル固定相の設計に示唆を与える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Kimata,et al.: "Chromatographic separation based on isotopic chirality." J.Am.Chem.Soc.118. 759-762 (1996)
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[Publications] H.Minakuchi,et al.: "Octadecylsilylated porous silica rods as separation media for reversed-phase liquid chromatography." Anal.Chem.68. 3498-3501 (1996)
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[Publications] H.Minakuchi,et al.: "Effect of skeleton size on the performance of octadecylsilylated continuous porous silica columns." J.Chromatogr.(印刷中). (1997)