1996 Fiscal Year Annual Research Report
イネ染色体上に現れる新規レトロトランスポゾンの構造と転移活性に関する研究
Project/Area Number |
08640785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大坪 久子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (20158801)
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Keywords | レトロトランスポゾン / イネ / 入れ子構造 |
Research Abstract |
(1)RIRE1、RIRE2、RIRE3の全塩基配列の決定:RIRE1の全塩基配列を決定し、全長8.6kbのコピア型のレトロトランスポゾンであることが明らかにした。RIRE2については既知の配列をもとにPCR法によってDNA断片を取得、PBSとPPTにはさまれた4.2kbの領域とLTR 441bpを決定した。しかしながら、ここで得られた配列には、TYMV(Turnip Yellow Mosaic Virus)のpolyproteinをコードする領域の一部とは相同性であるものの、通常のレトロトランスポゾンに見られるpol領域は見い出されなかった。従ってRIRE2は形質導入型のレトロトランスポゾンの可能性がある。RIRE3とRIRE8についても既知の配列をもとにPCR法によって全構造を含むDNA断片を取得し、全塩基配列を決定、いづれもgypsy型のレトロトランスポゾンであることを明らかにした。さらにこの一年間でRIRE4〜8までの新規レトロトランスポゾンを分離、同定した。 (2)RIREファミリーが関与するゲノムの再編成:RIRE1はハプロイドあたり、10000コピーもの高頻度でゲノム上に存在するためか、自分自身の配列の中に再度挿入された、いわゆる『入れ子構造』の形で存在する頻度が高い。RIRE1のLTR上にさらにRIRE1が挿入された部位をPCRを用いてマップすると、部位や領域を特に選ばずに挿入変異を生じていた。これは、ゲノム上に多コピー存在するRIRE1の多くがこのような形で不活性化されたことを意味する。このような入れ子構造は実の他のトランスポゾンやレトロトランスポゾンでも広汎に見られる普遍的な現象ではないか?。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Motohashi,R.: "Identification of Tnr3,a Suppressor-Mutator/Enhancer-like transposable element from rice." Mol.Gen.Genet.250. 148-152 (1996)
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[Publications] Motohashi,R.: "Structure and distribution of p-SINE1 members in rice genomes." Theor.Appl.Genet.(in press). (1997)
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[Publications] Nakajima,R.: "Identification and characterization of two tanden reneat sequences (TrsB and TrsC) and retrotransposon (RIRE1) as genome-general sequences in rice." Genes.Genet.Syst.(in press). (1997)
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[Publications] Noma,K.: "RIRE1,a retrotransposon from wild rice Orysz austrariensis." Genes.Genet.Syst.(in press). (1997)
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[Publications] 大坪 久子: "植物ゲノムの多様化と可動性遺伝因子" 細胞工学 別刷. 5. 104-113 (1996)