1996 Fiscal Year Annual Research Report
第四紀の地球環境変動に伴う日本産小型哺乳類の種間及び種内の遺伝的交流の解析
Project/Area Number |
08640791
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 仁 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (40179239)
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Keywords | 分子系統 / 小型哺乳類 / 在来種 / DNAマーカー |
Research Abstract |
計画年数3年間のうち,各課題項目に関する初年度の結果は以下の通りである。 1.日本産小型哺乳類の遺伝学的位置付け:ニホンヤマネ,トゲネズミ,ケナガネズミ,アカネズミ類,ヤチネズミ類,モグラ類,ジネズミ類について分子系統学的解析を行い,ニホンヤマネについては研究成果を発表した(印刷中)。 2.近縁種比較のための新しいDNAマーカーの開発:これまで核18S-28SリボソームRNA遺伝子スペーサー(制限酵素断片長多型)およびミトコンドリアDNAの12SリボソームRNA遺伝子とチトクロームb遺伝子の変異を分子マーカーとして用いてきたが,今回,Y染色体上に特異的な遺伝子であるSRYの周辺領域や核遺伝子の1RBPエクソン領域の解析も試みた。さらに独自に5SリボソームRNA遺伝子スペーサーの多型を利用することを試み,ラットの解析結果はすでに論文として公表した。 3.環境変動に伴う遺伝子の文化と交流の実態の解明:これまでの分子系統学的解析結果から,日本産哺乳類は分子系統学的に3つの生物地理学的グループに分けられることが明らかになった。すなわち,(1)北海道,(2)本州・四国・九州,(3)南西諸島グループである。(1)は大陸産のものと近縁度が高く,第四紀初期以降に日本に渡来し,(2)はヤマネを筆頭に固有度がどの種も高く,第四紀初期にはすでに日本に渡来しており,(3)は(2)と同様に固有度が高く,その渡来も第四紀初期以前であることが推察された。ただし,各グループ内で種それぞれの進化過程が存在することが推察されたので,さらに各種における大陸種との遺伝的交流について多くのDNAマーカーを用いて詳細に解析していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hitoshi Suzuki: "Rat 5S rDNA spacer sequences and chromosomal assighnment of the genes to the extreme terminal region of chromosome 19" Cgtogenet. Cell Gemet. 72. 1-4 (1996)
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[Publications] Hitoshi Suzuki: "Voriation in ribosomal DNA and mitochondrial DNA among chromosomal species of subterranean mole rats" Mol. Biol. Evol.13. 85-92 (1996)
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[Publications] Shigehal Wakana: "Phylogenetic implications of variations in rDNA and mtDNA in red-backed volles collected in Hokkaido,Japan,and in Korea" Mammal Study. 21. 15-25 (1996)
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[Publications] Hitoshi Suzuki: "Phylogenetic position and geographic difterentiation of the Japanese dormouse,Glirulus japonicus,revealed by rariations among rDNA,mtDNA and the Sry gene" Zoological Science. 14(in press). (1997)