1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640800
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河田 雅圭 静岡大学, 教育学部, 助教授 (90204734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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Keywords | 局所的相互作用 / 淡水産巻き貝 / Grazing / 付着藻類 / 空間分布 |
Research Abstract |
本研究は、淡水産巻き貝と付着藻類をもちいて、それぞれの空間構造と局所的な相互作用が、巻き貝の成長や空間分布、また藻類の空間的な生物量や種構成の動態にどのように影響しているかを特定することを目的としている。本年度は、淡水産巻き貝であるサカマキガイのグレージングが付着藻類の空間分布にどのような影響を及ぼすかを調べるために、実験を行った。水槽に付着藻類を実験的に付着させ、そこに密度を変えてサカマキガイ(Physa acuta)をいれた。付着藻類の生物量と生長量は、1cm^2のスケールで画像解析を用いて定量化した。得られたデータから、semivarianceを推定し、付着藻類の空間分布の変化とグレージングの関数を解析した。その結果、中程度のグレージング(貝5匹)により、藻類は比較的小さなパッチ(約5cm)を形成し、高いグレージング圧(貝10匹)では、より大きなパッチを形成した。さらに、藻類間の局所的相互作用の影響をみるために、隣接区画と成長量との関係を調べた。当該区画の藻類量は成長量に負の影響を与えていたが、隣接区画の藻類量は成長量に正の影響を与えていた。これらのことから、藻類の空間分布には、グレージング圧と藻類どうしの隣接間の相互作用が影響していることが示唆された。 また、藻類間の局所的相互作用に影響すると思われる要因として、ラメット間の直接的競争と栄養塩類をめぐる相互作用(栄養塩サイクルおよぶ栄養塩流)の相対的な重要性を調べるために、直接的な相互作用のみを阻害するバリアと間接的な相互作用を阻害するバリアを用いて藻類量の成長を調べた。その結果、直接的相互作用を阻害した場合、もっとも成長量が大きく、ラメット間の直接的相互作用が重要であることが示された。来年度は、これらの結果をもとに、個体ベースモデルと拡散モデルをつかって、さらに詳しい要因解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)