1997 Fiscal Year Annual Research Report
極相森林群集における樹冠発達と相互作用に対する最大樹高と枝の沈み込みの影響
Project/Area Number |
08640805
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Research Institution | Simane University |
Principal Investigator |
小池 文人 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (20202054)
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Keywords | 林冠 / 最大樹高 / 機械的支持 / ブナ / 照葉樹 |
Research Abstract |
極相林での樹冠の発達と樹冠どうしの相互作用を考えるには,これまで考慮されてこなかった種特異的な最大樹高や,枝の横への広がりを制限すると考えられる重力による枝の沈み込みを考慮する必要がある. このため以下の点について研究を行った. (1)最大樹高は枯れ戻りによってもたらされるのか,あるいはシュート生長速度が鈍る事が重要なのか? 方法:ブナ帯(大山)と照葉樹林帯(清澄山)において,他個体から被圧を受けない樹冠の最長部のシュートの成長から樹高成長を調べた. 結果:全ての樹種で樹高が高くなると樹高成長が低下する.その低下の仕方は直線的なもの(ブナ帯の多くの種),上に凸の曲線のもの(常緑広葉樹),不連続的に低下するもの(ブナ)などがある.幼樹の段階での樹高成長速度は多くの種で同じであるが,種の最大高の低い種では樹高成長量が急激に低下するのに対して,最大高の高い種では樹高成長量の低下が緩やかであった.これらの結果から,種の最大樹高の違いはシュート成長の低下によってもたらされていることが明らかになった. (2)重力による枝の沈み込みはどのていどあるのか? 方法:ブナの枝にレフシートを張り付け,トータルステーションを用いて1年間隔で3次元的な位置の変化を調べた. 結果:比較的太い枝では,自重による変形がもたらす枝の沈み込みはそれほど顕著ではない.樹冠の横方向の発達を制限する要因は,個体の成熟(樹高)によるシュート成長の低下によってもかなり説明できそうだ. (3)極相林の樹木におけるシュート群の動態のパラメータ測定 方法:マ-キングによる方法と,サンプリングによる方法を比較した 結果:樹高とともに頂芽優勢が低下する.シュートの分枝数は樹高とともに低下する種と,低下が顕著でない種とがある.
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