1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640818
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
円谷 陽一 埼玉大学, 理学部, 助教授 (10142233)
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Keywords | 細胞壁 / アラビノガラクタン-プロテイン / L-フコース / α-L-フコシルトランスフェラーゼ / GDP-L-フコース / ゴルジ体 |
Research Abstract |
植物細胞壁の構成成分であるアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)の糖鎖の生合成機構を明らかにするとともに、糖鎖の器官特異的発現と組織分化との関連性を解明することを目的として、L-フコース(L-Fuc)転移を触媒する糖転移酵素、α-L-フコシルトランスフェラーゼ(α-L-FucTase)の活性測定方法を確立し、酵素の諸性質、ならびに糖鎖合成がどの細胞内小器官で行われるのかを調べた。 1,α-L-FucTaseの活性測定の反応系は、GDP-L-フコースを糖供与体として、2-アミノピリジン(PA)で蛍光標識したAraα1→3Galβ1→6Gal(AGG-PA)を受容体として、ダイコン発芽後6日目の一次根のミクロソーム画分(膜画分)を酵素源として用い、25℃で保温した後に糖転移産物であるFuc-AGG-PAをHPLCで分離・定量した。高分子の受容体への転移活性はGDP-L-[^<14>C]-Fucを基質として用い、分離した転移産物の放射活性を測定した。 2,酵素の諸性質:酵素活性は、Mn^<2+>あるいはMg^<2+>およびZwittergentなどの界面活性剤に依存し、最適pHおよび最適温度は、それぞれpH6.0-7.5と25℃にある。GDP-L-Fucに対するkm値は0.08mMであり、AGG-PAに対しては3.72mMと測定された。メチル化分析ならびに酵素分解によってL-Fuc残基は受容体のAra残基にα1→2結合で転移されることが明らかとなった。ダイコン成根のAGPは、受容体として不活性であるが、エキソ-β-(1→3)-ガラクタナーゼによる分解で遊離した比較的高分子量の中性および酸性の糖画分は、受容体として有効であることが判った。 3,ミクロソーム画分をショ糖密度勾配遠心分離法により分画し、α-L-FucTaseの活性と標識酵素の活性の分布を比較したところ、α-L-FucTaseはゴルジ体に局在することが判った。
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