1996 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸欠乏によって獲得するアルミニウム耐性因子およびその合成遺伝子の分離と同定
Project/Area Number |
08640829
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 洋子 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (50166831)
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Keywords | アルミニウム耐性 / タバコ培養細胞 / 脂質過酸化 / リン酸欠乏 / 抗酸化物質 / フェニルプロパノイド / グルタチオン / フェニルアラニンアンモニアリアーゼ |
Research Abstract |
1.研究目的 土壌中に存在するアルミニウム(Al)は、土壌の酸性化とともに溶出し、植物根の伸長を阻害する。このAlイオンの阻害機構、ならびにAl耐性機構について、タバコ培養細胞を用いて検討したところ、Alイオンは、鉄イオンとともに細胞膜の脂質過酸化を促進して細胞死を引き起こすことを明らかにした。さらに、タバコ細胞をリン酸欠乏状態にすると、Al耐性になることを見い出し、この耐性機構を明らかにすることを本研究の目的にしている。ここでは、リン酸欠乏細胞(-P細胞)のA1耐性が、脂質過酸化を抑制する種々の抗酸化物質の蓄積による可能性について、正常細胞と比較することにより検討した。 2.研究結果 (1)ビタミンEについて。-P細胞と正常細胞での含量は同程度であった。(2)グルタチオン(GSH)について。正常細胞を-P培地に懸濁した直後にGSH含量が増加するが、その後は正常細胞レベルまで低下した。一方、酸化型GSHを還元しGSHに再生するGSH還元酵素の比活性は、-P細胞で正常細胞の2倍程度に増加しており、脂質過酸化の抑制に関わっている可能性を示唆している。(3)フェニルプロパノイドについて。-P細胞には、正常細胞の10倍程度含まれており、さらに、フェニルプロパノイド合成系の鍵酵素であるフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の比活性が60倍程度増加していた。 3.次年度の研究計画 フェニルプロパノイドに着目し、-P細胞からフェニルプロパノイドを分離・精製し、その化学構造を明らかにし、また、抗酸化活性について検討する。さらに、これらフェニルプロパノイドの合成経路を明らかにし、経路に関わる酵素を特定し、それら遺伝子のクローニングを行う。
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