1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640835
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
上田 英二 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (20160161)
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Keywords | アカウキクサ / アブシジョン / エチレン / 細胞壁 / ペクチン / ミドルラメラ / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
アカウキクサで認められる3つのタイプのアブシジョン(自然に起こる,エチレンによって誘導される時間のかかる,呼吸阻害剤によって誘導される短時間で終了するアブシジョン)の詳細を理解するため,本年度は,前年度に引き続き,ペクチンに対するモノクローナル抗体(methylesterified pectinとunesterified pectinをそれぞれ別々に認識するモノクローナル抗体)を使った免疫電顕の手法よって,ミドルラメラ崩壊の過程をより詳しく調べた.その結果,アブシジョンの過程における離層細胞でのミドルラメラの崩壊は,polygalacturonaseの活性変動だけでなく,ペクチン組成(methylesterified pectinとunesterified pectin組成比)にも密接に関係しているこを、明らかした.この実験結果をえたことによって,なぜ,3つにタイプのアブシジョンではミドルラメラペクチンの消失のし方の違うのかについて,説明できるようになった.この結果は論文にまとめて投稿した(J.Exp.Bot.投稿中).また,いろいろなアカウキクサストレインを用いて,3つにタイプのアブシジョンがどの様な条件でどの様にして起こるかについて詳細に調べた.得られた結果から,それぞれのタイプのアブシジョンの生理生態学的な意味について推察した.この結果も論文にまとめて投稿した(Aquatic.Bot.投稿中).一方酵素的な面からアプローチするため,前年度より,アブシジョンに関与していると思われるpolygalacturonaseおよびcellulaseの単離精製を試みてきた.しかし,両酵素とも当初考えていたよりその量はずっと少なく精製はい未だ完了していない.イオン交換カラムおよびゲル濾過カラムによって部分的な精製は完了したが,生化学的,免疫学的な研究に使える程度の純度には至っていない.今後も精力的に進めていかなければならない課題であると考えている.
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[Publications] 上田英二、赤坂庸子、大門弘幸: "Morphological aspects of the shedding of surface layers from peanuts roots" Can.J.Bot.75. 607-611 (1997)
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[Publications] 赤坂庸子、大門弘幸、上田英二: "ラッカセイ毛状根における根粒形成" 根の研究. 6. 12-15 (1997)
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[Publications] 上田英二: "アカウキクサ" 根の辞典(朝倉書店刊). (In Press).