1996 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫概日時計間の相互同調に関わる視髄両側性巨大ニューロンの同定とその機能解析
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08640866
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Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Research Institution | Yamaguchi University |
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Principal Investigator |
富岡 憲治 山口大学, 理学部, 教授 (30136163)
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| Keywords | 昆虫 / 概日時計 / 視葉 / 視覚性ニューロン / 生体アミン |
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| Research Abstract |
コオロギ視の髄は26対の視髄両側性巨大ニューロン(MGN)により、単シナプス的に連結されている。MGNはいずれも視覚性ニューロンであり、形態と受容野から4種に大別することができる。8年度はまずMGNがどのような神経伝達物質を含むかを検討した。反対側視葉第2キアズマ切断端よりニッケルをバックフィルすることにより標識したMGN細胞体を含む組織を単離し、HPLC-ECDにより細胞体に含まれる生体アミン類を分析した。その結果、5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)と微量のセロトニン、それに幾つかの未知物質が検出された。その中で最も多量に含まれていたのがセロトニンとN-アセチルセロトニンの間に流出する未知物質であった。現在までのところ、セロトニンの抗体ではMGNは標識されないので、この未知物質が伝達物質である可能性が高い。今後この物質が何かを決める必要がある。MGNの電気刺激後、反対側視葉のアミン量を定量した結果、5HIAAとN-アセチルドーパミンが有意に増加することがわかった。今後の検討を要するが、MGNの情報がセロトニン系、ドーパミン系を介して反対側時計に作用する可能性が示唆された。
さらにこれまでに同定されている4グループのMBNのうち、どれが左右の視葉概日時計間の同調系に関与するものかを明らかにするため、片側の視神経切断に加えて、正常側複眼の部分破壊を行った。明暗13:13のもので、手術個体の盲目側時計の自由継続周期が正常側時計との位相角に依存した変化を示すかどうかを解析すると、複眼後方背側部を切断した場合にのみ、位相依存的周期変調が阻害された。このことは、この領域に受容野を持つMBN4が左右同調系に関わることを示唆している。周期変調の大きさと方向性が両者の位相角に依存していることから、MBN4の概日リズムが周期変調すなわち時計間同調機構に重要であることを示唆された。
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[Publications] Tomioka K,Yukizane M: "A specific area of the compound eye in the cricket Gryllus bimaculatus sends photic information to the circadian pacemaker in the contralateral optic lobe." J.Comp.Physiol.A. 180. 63-70 (1997)
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[Publications] Tomioka K,Uwozumi K,Matsumoto N: "Light cycles given during development affect freerunning period of circadian locomotor rhythm of period mutants in Drosophila melanogaster." J.Insect Physiol.(in press). (1997)
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[Publications] Tomioka K: "Neural mechanisms for mutual imteractions between optic lobe pacemakers in the cricker.In:Circadian organization and Oscillatory Coupling.(Honma K & Honma S eds)," Hokkaido University Press, 159-172 (1996)
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[Publications] 富岡憲治: "時間を知る生物、ポピュラーサイエンスシリーズ" 裳華房, 158 (1996)
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[Publications] 富岡憲治: "5・11測時機構.(分担執筆)三橋淳他編:昆虫学-基礎と応用" 朝倉書店(印刷中), (1997)
