1998 Fiscal Year Annual Research Report
無脊椎動物フォスファーゲンキナーゼ類の分子構造の比較とその分子進化
Project/Area Number |
08640867
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
古郡 隆弘 高知大学, 理学部, 教授 (30036553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知彦 高知大学, 理学部, 助教授 (60145109)
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Keywords | アルギニンキナーゼ / クレアチンキナーゼ / グリコシアミンキナーゼ / 分子進化 |
Research Abstract |
フォスファーゲンキナーゼ(PK)はリン酸基転移酵素の一種であり,ATPのγ-リン酸基を特異的基質が持つグアニド基へ可逆的に転移させ,ADPと高エネルギーリン酸化合物であるホスファーゲンを生産する.PKとしては現在7種類が知られており,それらはクレアチンキナーゼ(CK),アルギニンキナーゼ(AK),グリコシアミンキナーゼ(GK),タウロシアミンキナーゼ(TK),ロンブリシンキナーゼ(LK),ヒポタウロシアミンキナーゼ(HTK),オフェリンキナーゼ(0K)である. 本年度は,フォスファーゲンキナーゼの進化を考える上でカギとなる異常な2ドメイン型アルギニンキナーゼが軟体動物の二枚貝類に予想外に広く分布していることを確認した.本年度は,ウバガイにおいて2ドメイン型アルギニンキナーゼのアミノ酸配列を報告したが,マテガイ,アサリ,シジミなどでもウバガイ同様の2ドメインが多アルギニンキナーゼが発現していた.2ドメイン型アルギニンキナーゼは原始的なイソギンチャクにおいて発現していることが我々のグループによって初めて明らかにされたが,2ドメイン化がアルギニンキナーゼの進化の過程で独立に少なくとも2度起こったことは,フォスファーゲンキナーゼの分子多様性と深く関係していると思われる.また今年度は,ゴカイのグリコシアミンキナーゼがα,β鎖からなるヘテロ二量体であることを明らかにした.フォスファーゲンキナーゼの中でヘテロ二量体は脊椎動物の一部で見られるのみであり興味深い.
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[Publications] Suzuki et al.: "Gene duplication and fusion have occrred frequently in the evclution of phosphagen kinases" Bioch.m.Bicphys Acta. 1388. 253-259 (1998)
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[Publications] Suzuki et al.: "Evolution of phosphagen kinases VII." J.Protein Chem.18. 13-19 (1999)