1996 Fiscal Year Annual Research Report
エガイ赤血球に含まれる異常2ドメイン型ヘモグロビンの進化と生理的特性に関する研究
Project/Area Number |
08640868
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 知彦 高知大学, 理学部, 助教授 (60145109)
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Keywords | ヘモグロビン / 遺伝子構造 / 2ドメイン構造 / エガイ |
Research Abstract |
研究は当初の計画通りに順調に進みつつあり,これまでに,奄美大島産エガイのヘモグロビン2D鎖のイントロン・エキソン配置,及びδ鎖遺伝子について完全な塩基配列を決定することができた. δ鎖の遺伝子構造は,3イントロン・4エキソン構造を取っており,脊椎動物ヘモグロビンの2イントロン・3エキソン構造とは異なっていた.即ち,δ鎖においては開始コドンの直前に特異的なイントロン(プレコーディングイントロン)を持っていた. 一方2D鎖の遺伝子構造においては,脊椎動物でも存在する2つのイントロンに加えて,δ鎖に見られたプレコーディングイントロンと2つのドメイン間を分割するように存在するイントロン(ブリッジイントロン)が存在していた. このエガイ・ヘモグロビンの2D鎖及びδ鎖に特異的に存在する2つのイントロン,プレコーディング及びブリッジイントロンの塩基配列を比較することによって,当初の目的の一つであった異常2ドメインヘモグロビン鎖の生じたメカニズムの解明が達成された. 要約すると,2D鎖を特徴づけるブリッジイントロンの5'領域は,シングルドメインδ鎖の3'非翻訳領域と非常に高い塩基配列の相同性を持っており,また,ブリッジイントロンの3'領域はδ鎖のプレコーディングイントロンの3'領域と非常に高い相同性を持っていたのである.この結果,δ鎖が先ず遺伝子重複し,その後それらの遺伝子の不等交叉によって2D鎖が生じたのではないかと推定された.
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