1997 Fiscal Year Annual Research Report
原索動物アボヤのアロ抗原認識分子の探索及びその遺伝子解析
Project/Area Number |
08640874
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 丈 東京理科大学, 基礎工学部・生物工学科, 教授 (30100085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 浩美 東京理科大学, 基礎工学部・生物工学科, 助手 (40213847)
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Keywords | 進化 / 免疫系 / マロ認識反応 / 自家不和合性 / 体腔細胞 / 卵細胞 / 原索動物 / アボヤHalocynthia |
Research Abstract |
マボヤHalocynthia roretziのアロ抗原を認識する体腔細胞の反応と受精における自家不和合性を支配するFu/HC遺伝子座をクローニングし、その遺伝子(群)によってコードされているタンパク質の構造とアロ抗原の認識と受精における機能を解明して、哺乳類の高度に発達した免疫系が無脊椎動物のどのような分子を起源として進化してきたのかを明らかにするすることを最終的な目的とした。 本研究によって以下の成果が得られた。(1)マボヤ体腔細胞の細胞膜分画でマウスを免疫し、体腔細胞の細胞膜に結合して体腔細胞によるアロ細胞障害反応を阻害する多数のモノクローナル抗体(CRB1,CRB2,CRB3)を作製することに世界で初めて成功した。(2)上記のモノクローナル抗体の認識するCR1/CR2/CR3抗原は貧食活性を持たない体腔細胞に強く発現していることを明らかにした。(3)上記のモノクローナル抗体の認識する抗原の生化学的解析を行い、これらの抗体は体腔細胞膜上のアスパラギン結合型糖タンパク質を認識し、その抗原性にはN型糖鎖が大きく影響していることを明らかにした。(4)CR1抗原はマボヤ未受精卵の卵膜上に、CR2抗原はろ胞細胞膜上に発現していること、また、CR3抗原は卵膜、ろ胞細胞膜の両方に発現していることを明らかにした。(5)受精の阻害実験ではCRB1、CRB2が一部の個体間における受精を阻害した。自家不和合性は精子の卵膜への結合の過程でおこると考えられていることから、CR1抗原分子は体腔細胞によるアロ認識と受精における自家不和合性の両方の機構に関与する分子である可能性が示唆された。今後、CR1抗原分子の遺伝子をクローニングして、予想されるアミノ酸配列からCR1抗原分子がどのような祖先分子から進化してきたのか、哺乳類の免疫系の抗原認識分子と関係があるのかを明らかにする必要がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Suzuki,M. et al.: "Do monoclonal antibodies that inhibit allogeneic cytotoxic neaction by hemocytes of the ascidian Halocynthia roretzi Xecognize products of "Hu/Hcgenes"?" Zool.Sci.14・Sup(in press). (1997)
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[Publications] Nakatsu,F. et al.: "Cloning of a human IQGAP gene homologue that is expressing in hemocytes of the ascidian Halocynthia noretzi" Zool.Sci.14・Sup(in press). (1997)
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[Publications] Suzuki,M. et al.: "Analysis of cell surface antigens inbolue in allogeneic cytotoxic reaction by hemoaytes of the ascidian Halocynithia noretzi" Zool.Sci.(1996)
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[Publications] 千葉 丈: "ホヤの生物学(佐藤短行編)" 東京大学出版 (印刷中), (1998)