1997 Fiscal Year Annual Research Report
スズメバチ科の巣の表面微細構造と巣材の成分組成からみた巣建築技術の進化
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08640879
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Research Institution | Ibaraki Universtiy |
Principal Investigator |
山根 爽一 茨城大学, 教育学部, 教授 (40091871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 宏 茨城大学, 教育学部, 教授 (50091872)
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Keywords | カリバチ / スズメバチ科 / 巣の建築技術 / 表面微細構造 / 巣材組成 / 巣材の化学成分 / 口内分泌物 / 機能外被 |
Research Abstract |
平成9年度には、巣材の種類や加工技術を調べるため、フタモンアシナガバチの巣の成分組成についてのデータを引き続き解析し、論文として投稿すると共に、口内分泌物のアミノ酸組成を中心に分析した。また、生息地(主に緯度)によって巣の建築様式がいかに異なるかを、すでに採集した巣のデータから解析した。 1.「フタモンアシナガバチの巣作りにおける口内分泌物の使用、特に外来蛋白質資源のコロニー内での分配」:H8年に引き続きデータの解析など。口内分泌物の窒素含有量から、巣自体に消費される蛋白資源が巣に搬入される全蛋白量の10数%を占め、その採集のために相当の労働力を必要とすることを初めて指摘した(H9年11月に、第3回アジア・太平洋昆虫学会議(於台湾)で口頭発表、論文は“Ethology.Ecology & Evolution"に受理)。 2.「フタモンアシナガバチの口内分泌物の化学組成」:口内分泌物から24種のアミノ酸を検出し、その中でグリシン、プロリン、アラニン、セリン、バリンの5種が主要な成分であることが判明した。それら主要成分の存在比率は、巣間でも極めて安定しており、本種におけるアミノ酸生成は個体変異が少ないことを示した。アミノ酸組成の詳細や生理生態学的意義は今後に残された課題である。 3.「緯度による巣建築の比較、特に機能外被との関連」:寒冷地の北海道に生息するトガリフタモンアシナガバチは、長い育児室と周辺部の空室による付加的構造=機能外被を作る。その巣のサイズ、巣材組成などを調べ、関東のフタモンアシナガのそれと比べて、創設メスの巣建築への投資量を比較した。寒冷地の創設メスの方が2倍以上の労働投資を行っていることが判明したが、それは巣の保温効果を高めるためと推測された(“Insectes Sociaux"に投稿中)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kudo,K, Yamane,S. & Miyano,S.: "Occurrence of a binding matrix in a nest of a primitively eusocial wasp,Eustenogaster calyptodoma (Hymenoptera,Vespidae)" Jpn.J.Entomol.64. 891-895 (1996)
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[Publications] Kudo,K, Yamane,S. & Yamamoto,H.: "Physiological ecology of nest construction and protein flow in pre-emergence colonies of Polistes chinensis : effects of rains and microcriniates" Etology,Ecology & Evolution. (印刷中).