1996 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電・反強誘電性液晶の層構造ダイナミクスとその機能性に関する研究
Project/Area Number |
08650013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾崎 雅則 大阪大学, 工学部, 助教授 (50204186)
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Keywords | 強誘電性液晶 / 反強誘電性液晶 / スメクチック層 / 層構造 / エレクトロクリニック効果 |
Research Abstract |
スメクチック液晶の層構造は比較的剛直であると考えられてきたが、我々は、電界により層配向方向が容易に回転することを発見した。そこで、本研究では、このスメクチック層の電界による回転運動のメカニズムを解明し、さらにこれを利用した新しい機能応用の可能性を検討した。具体的には以下の成果を得た。(1)印加電界の波形、周波数を系統的に変化させ、電界の極性反転方法の非対称性が、層の回転に必要であることを明らかにし、特に極性反転時の無電界状態の有無が本質的であることを指摘した。また、層の回転にしきい値電界が存在し、それが層変形のしきい値電界に関係することを見出した。(2)界面処理条件やセル厚の依存性を検討し、層の回転の起源が界面によるものではなく、バルクの性質であることを明らかにした。また、層の回転は本質的には制限なく回転しうるが、界面配向処理によりその回転が抑制される傾向があることが明らかとなった。(3)強誘電性を示さないスメクチックA相においても層の回転が観測し、電界誘起分子チルトすなわちエレクトロクリニック効果に起因する層の変形の寄与を指摘した。(4)試料にイオン性の不純物をドープした場合には、非対称成分を有する交流電界のみならず直流電界においても、層が可逆的に回転することが明らかとし、その場合の層の回転には、液晶内のイオンの流れが重要な役割を担っており、非対称成分を含む交流電界印加による層の回転とは本質的にメカニズムが異なることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Nakayama: "Smectic Layer Rotation in the Smectic A Phase of Ferroelectric and Antiferroelectric Liquid Crystals" Japanese Journal of Applied Physics. 35. 6200-6201 (1996)
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[Publications] K.Nakayama: "Sinectic layer rotation by DC field in ferroelectric liquid crystal" Applied Physics Letters. (印刷中). (1997)