1997 Fiscal Year Annual Research Report
非線形吸収を伴った超音波ビームによる温度上昇、流れ及び自己作用
Project/Area Number |
08650063
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Research Institution | University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鎌倉 友男 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50109279)
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Keywords | 音波ビーム / 自己集束 / 音響流 / 超音波加熱 |
Research Abstract |
粘性流体中に音波を放射すると、音波の波動エネルギー(音響エネルギー)の一部は媒質を動かす駆動力になり、また、一部は粘性損失で熱を発生させ、媒質の温度を上げる。前者の駆動力は音波ビーム内で媒質の移動を引き起こして流れを発生させる。この流れ現象は音響流として知られている。一方、後者の温度上昇は音波ビームの伝搬方向を曲げる。すなわち、音速や音波吸収など物性値は一般に温度に依存して変化することから、音波ビーム内の温度が上昇することで、波面が曲がることになる。本研究は、まず、音速のみが音波のインテンシティに比例して空間的に不均一であるとの前提で波動方程式を放物近似し、その式を差分法を利用して数値的に解いた。その結果、定性的に予想されるように、温度上昇するとともに音速が早くなればビームは音軸から外側に曲がり、逆に、音速が遅くなれば内側に曲がり、自己集束の発生が期待された。次に、理論モデルを拡張して、実在の高粘性流体(シリコーンオイル、ひまし油)の物性値を対象に、音速、音波吸収係数、そして粘性率の温度依存を考慮した数値計算を行った。この結果から、集束音場よりも平面音場の方が自己集束の現象が顕著に見られること、ビームが音波の放射時間とともに細くなると同時に、ビームパターンに違いが現れる、すなわち、サイドローブの発生を抑えたガウスビームであっても、音速の空間不均一性や流れの発生などでサイドローブが現れることがわかった。
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