1996 Fiscal Year Annual Research Report
熱ほふく流を利用したナノメータ領域浮上メカニズムの研究
Project/Area Number |
08650065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福井 茂寿 鳥取大学, 工学部, 教授 (40273883)
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Keywords | 分子気体力学 / ボルツマン方程式 / モンテカルロ直接シミュレーション(DSMC) / 熱ほふく流 / マイクロトライボロジー / 分子気体潤滑(MGL) / マイクロ理工学 / マイクロメカニズム |
Research Abstract |
マイクロ/ナノメカニズムでは、形状が非常に小さいことによって従来無視し得た力が顕在化し、場合によってはそれを駆動力にしたメカニズムが提案されている。例えば、対象とする代表長さhに比べ気体の分子平均自由行程λが必ずしも無視できない場合、すなわちクヌッセン数Kn(=λ/h)が無視しえない場合には、分子気体力学(希薄気体力学)に特有な現象が生じ、それを用いたメカニズムが考察される。本研究の目的は、マイクロな系に特有な現象の一つとして、境界壁の温度勾配の存在による"熱ほふく流(Themal creep flow)"に着目しこれを用いた全く新しい非接触支持メカニズムを提案するとともに、その可能性を定量的に解明することである。 本研究では直接シミュレーション技法を扱うため高速大容量計算が必須となる。このため本年度(初年度)には、まず高速演算コンピュータの新たな整備を行い、これを用いてモンテカルロ直接シミュレーション法(DSMC法)による超微小すきま内の熱ほふく流の基本解析プログラムの作成に着手した。一方、すでに実績のある分子気体潤滑(MGL)解析について、発生圧力に及ぼす形状および温度境界条件の明確化に取り組むとともに、DSMC法解析とMGL解析との比較によって熱ほふく流に起因する圧力発生の解析法の最適化を推進した。 今期の主な成果として、平行平板間で面内方向に逆V字型の温度分布を有する"熱励起形浮上メカニズム"を対象に、温度勾配が小さい場合にMGL解析とDSMC法の結果が比較的よく一致することを確認し、MGL解析の有用性を示した。次年度では、熱ほふく流流量係数のDSMC法による高精度シミュレーション、セル形状、計算領域の最適化を行い、マイクロ浮上メカニズム実現のためのデータ蓄積を図る。
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