1996 Fiscal Year Annual Research Report
航法用電波に対する人工構造物の電磁環境問題に関する研究
Project/Area Number |
08650071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山下 享子 名古屋市立大学, 芸術工学部, 教授 (20023674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠入 大二 広島商船高等専門学校, 流通情報工学科, 講師 (20213605)
佐藤 尚登 海技大学, 校航海科, 教授
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Keywords | 電波航法 / 電磁環境 / 電波障害 / レーダ / 偽像障害 / ロランC / 海上交通 / 海洋架橋 |
Research Abstract |
衛星や双曲線測位システムに代表される航法電波の利用が,社会生活に身近なものとなっている.とりわけ,海上交通社会において航法電波は,船舶の衝突防止,目的地への誘導など極めて重要な役割を担っている.我が国の周辺海域においては,巨大なタンカーから小型の漁船に至るまで約2万隻に及ぶ船舶が航法電波を利用している.航法電波に対する人工構造物の電磁波環境障害の問題は内陸部の海上交通路における近年の問題であり,そのため,衝突防止用レーダ電波に対する障害,LF帯電波に対するじょう乱など,それらの問題の解明と障害の予測シミュレーションを行う目的で,電磁波障害の実態を定量的に収集できる新しいシステムの開発を行った.システムは航法機器と情報関連機器をインターフェースを介して接続したもので,これらの測定システムは多数の船舶が幅輳して航行している海域で,船舶の海上交通を妨害しないように工夫したものとなっている.次いで,電磁波環境問題が具体的に発生している例として明石海峡大橋や瀬戸内海の島しょ部に建設中の架橋を対象に電磁波障害の定量化と情報化,そしてファイル等への記録化してデータバンクを作成した.これらのデータを用いて,まずLF帯電波を対象に橋梁直下における電磁波の遮蔽問題と当海域における2次波の発生メカニズムの理論的な検討を行った.橋梁直下付近における遮蔽は波長の関係から静電界的な取扱いからほぼ説明することができた.また,2次波の発生メカニズムはほぼ解明することができたが測位誤差との関連においては次年度に予定している実験から解析を行うことが必要となっている.レーダ波に対する電磁波環境問題としては,いわゆる偽像が挙げられるがこの問題はフレネルの取扱いからほぼ説明可能である.しかし,さらに検証すべき課題が残っている.最後に,開発している測定システムは電波航法に関する近年の課題解決に適用できることが明らかになり,船舶の運航に際しての画像情報の抽出問題や映像の認識問題の解明に応用して成果を得ることができた.
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[Publications] 佐藤 尚登,他.: "航行用100kHz帯電波に及ぼす巨大架橋の影響について-II" 日本航海学会論文集. 94号. 137-144 (1996)
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[Publications] 堀 晶彦,他.: "画像変換における船舶の動向解析に関する研究-I" 海技大学校研究報告. 34号. 1-7 (1996)
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[Publications] A. Hori, N. sato, M. Yamashita: "On Estimation of the Vesel′s Overall Length by the Linear Multiple Regression Model." Maritime Collision and Prevention. 257-271 (1996)
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[Publications] 堀 晶彦,他.: "画像変換における船舶の動向解析に関する研究" 日本航海学会論文集. 95号. 61-69 (1996)