生体組織の力学的適応制御に関するバイオメカニクスとその工学的応用

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08650110
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Ritsumeikan University
• Principal Investigator: 山本 憲隆 立命館大学, 理工学部, 助教授 (40210546)
• Keywords: バイオメカニクス / 力学的適応 / 生体組織 / 運動 / 膝蓋腱 / 力学的性質 / 張力 / 生体内計測

Research Abstract

1.家兎膝蓋腱に,動的負荷試験装置を用いて,最大荷重が100,150,200Nと異なる3種類の繰り返し負荷を1日当り3,000回作用させながら2週間飼育した後,家兎を屠殺して膝蓋腱の引張試験を行った.通常膝蓋腱に作用しているピーク荷重の1.8倍に相当する150Nの最大荷重では,有意差は現れなかったが引張強度が若干増加した.また,2.4倍に相当する200Nの最大荷重では,有意差は現れなかったが引張強度はかなり減少した.以上の結果から,通常作用する負荷の2倍程度が,膝蓋腱が正常な強度を維持できる限界であると考えられる.
2.ラットをランニングマシン上で0.6km/hで走行させ,膝蓋腱に作用する張力を腱の内部に埋め込んだ特製の張力センサーを用いて計測した.その結果,走行中には膝蓋腱に繰り返し周波数2Hzで平均8.1Nのピーク張力が作用することがわかった.
3.ラットを0.6km/hで2時間運動させた直後に屠殺して,膝蓋腱の引張試験を行った.膝蓋腱の力学的性質や寸法には有意な変化は現れなかった.以上の結果から,平均ピーク張力8.1Nの繰り返し負荷が,約14,000回作用しても膝蓋腱の力学的強度は低下しないことが明らかになった.

Research Products

• [Publications] 山本憲隆,他: "生体内で過負荷を繰り返し作用させた家兎膝蓋腱の力学的性質" 日本機械学会第74期全国大会講演論文集. 279-280 (1996)
• [Publications] 山本憲隆,他: "直接的に生体内で繰り返し負荷を作用させた家兎膝蓋腱の力学的性質" 日本機械学会[No.96-20]シンポジウム講演論文集. 259-263 (1996)