1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
合田 公一 山口大学, 工学部, 助教授 (10153743)
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Keywords | 複合材料 / 強度 / 信頼性 / 繊維 / ワイブル分布 / マルコフ過程 / AE / 損傷 |
Research Abstract |
まず、織物強化樹脂基複合材料の強度信頼性に関わる特性発現機構をAE(Acoustic Emission)測定により検討するとともに、昨年度実施した金属基複合材料の特性発現性と比較した。その結果、以下の結論が得られた。 (1)樹脂基複合材料(8枚朱子織2層)に対して試験片長手方向におけるAE事象分布を測定したところ、事象の局所ピークは現れず一様に分布した。これは、局所ピークを有した金属基複合材料と異なる特徴である。 (2)樹脂基複合材料では、織物90°層における繊維-マトリックス間の界面はく離が著しく現われるため、材料破壊を決定づける繊維破壊対応のAE事象が明確に現われない。そこで、AE振幅値の低い界面はく離対応の事象を取り除くために、60dB、70dB、80dBおよび90dBをしきい値として事象分布解析を再度実施した。その結果、70dB以上をしきい値に設けるとき、金属基複合材料の測定結果と同じように、2〜3の局所ピークが現われた。 さらに、一方向繊維強化複合材料における繊維の強度発現性を表わす解析モデルをマルコフ過程に基づき提案した。これは、クラスター(繊維破断点の集積)周辺の荷重分担を最近接繊維のみに限定した1状態出生過程ならびに次近接繊維にまで分散させた2状態出生過程を想定するものである。繊維の寿命分布として時間依存型ワイブル分布を採用し、複合材料の破壊確率(寿命分布)曲線を解析的に導出した結果、以下の結論が得られた。 1)両出性生過程ともに臨界クラスターサイズの増加につれて低寿命域における分布の傾きは大きくなり、各々の破壊確率曲線はマスターカーブに近づいた。また、2状態出生過程による確率曲線は1状態出生過程より良好な寿命発現性を呈した。 2)最小値分布による材料全体の寿命分布に関しては、寸法の増大とともに破壊確率曲線は低寿命側にシフトするが、分布の傾きは大きくなることが認められた。つまり、複合化によりこの材料の寿命は低下かするが、ばらつきは改善される。
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