1996 Fiscal Year Annual Research Report
転がり疲れ条件下におけるき裂伝播と塑性流動の関連性および数値シミュレーション
Project/Area Number |
08650164
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤本 浩司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40182993)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 義 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30013733)
|
Keywords | 転がり疲れ / き裂伝播 / 表面損傷 / 塑性流動 / 接触応力 / 介在物 / 弾性流体潤滑 / き裂開口変位 |
Research Abstract |
本研究では、転がり疲れき裂の伝播挙動を解明することを最終目的として実験・理論解析を行い、以下の知見を得た。1.スキューを与えた条件下で転がり疲れ試験を行い、ピーリングき裂の物体内部への3次元的進展状況を観察した。さらに、ナイタール試薬によって腐食することにより、表層部の塑性流動の状況を調べ、ピーリングき裂の伝播方向との関連性を定量的に調べた。その結果、スキューを与えることにより生ずる軸方向接線力の向きの影響によって、転がり疲れき裂は軸方向に対して一定の方向に進展することが判明した。さらに、その方向は軸方向接線力の影響によって生ずると思われる塑性流動の向きと一致していることが確認された。2.転がり疲れき裂の伝播の数値シミュレーションを行うための予備研究を行い、以下の成果が得られた。(1)ポリメチルメタクリレートの破壊時における比表面エネルギのき裂伝播速度依存性が粘弾性モデルにより説明できることが判明した。さらに、き裂の高速伝播時における速度の振動現象を比表面エネルギのき裂加速度依存性を仮定することによりシミュレートすることに成功した。(2)アルミ合金・炭素鋼を供試材としてモードII荷重下における疲労き裂の伝播挙動について調べた結果、同一の材料であってもΔKの値によってき裂の伝播モードが異なる場合があることが判明した。(3)連続分布転位法による弾性体介在物の数値解析法を確立し、円形弾性体介在物を有する半無限弾性体の接触問題を数値解析を行い、介在物の応力分布を高精度で求めることに成功した。(4)接触界面における表面粗さの影響を考慮に入れたEHL解析を行い、マイクロキャビテーションの発生のシミュレートを行うことに成功した。3.表面き裂を有する弾性体の接触問題の解析を行い、その開口挙動を調べることによってモードI型のき裂伝播を起こす可能性があることを見出した。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] 藤本浩司: "特異積分方程式法による円孔を有する弾性体における接触問題の数値解析" 日本機械学会論文集(A編). 62-595. 761-769 (1996)
-
[Publications] 藤本浩司: "円形介在物を有する弾性体の接触問題の数値解析" 日本機械学会北海道支部第36回講演会講演概要集. 17-18 (1996)
-
[Publications] 吉川雄介: "ヘルツ接触荷重を受ける弾性体における表面き裂の開口挙動について" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集・北九州. 241-243 (1996)
-
[Publications] 鎌本繁夫: "表面粗さに起因したマイクロキャビテーションを考慮したEHL解析(2)" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集・北九州. 362-365 (1996)
-
[Publications] 茅野雅久: "モードII型繰返し荷重下における疲労き裂の伝播挙動に関する研究" 日本機械学会第4回機械材料・材料加工技術講演会講演論文集. 185-186 (1996)
-
[Publications] Fenghua ZHOU: "Energy Balance Analysis on Mode-III Dynamic Crack Propagation in Fixed Sided Strip" International Journal of Fracture. 80-1. 33-44 (1997)
-
[Publications] Koji FUJIMOTO: "Computational Mechanics ′97" Springer-Verlag(Editors:S.N.Atluri,G.Yagawa et al.)(to be pubished), 6 (1997)
-
[Publications] Koji FUJIMOTO: "Contact Mechanics(Computational Techniques)" Computational Mechanics Publications(Editors:M.H.Aliabadi et al.)(to be published), 10 (1997)