1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650175
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和泉 直志 九州大学, 工学部, 助教授 (60184579)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏昌 九州大学, 工学部, 助手 (80264076)
森田 健敬 九州大学, 工学部, 助手 (70175636)
|
Keywords | 固体潤滑剤 / 焼付き / 転がり疲れ / フォールスブリネリング / フレッチング |
Research Abstract |
本年度は固体潤滑剤を添加した潤滑油の耐焼付き性,グリースの揺動転がり軸受での耐フレッチング性を調べた.また,グリースの耐フレッチング性を評価するうえで前提となる無添加のグリースで潤滑した揺動転がり軸受の寿命と作動条件,油膜形成との関連を調べるとともに,転がり疲れの試験方法について検討した.得られた主な知見は以下のとおりである. 1.二円筒焼付き試験により二硫化モリブデン,グラファイト,フッ化黒鉛,窒化ホウ素などの固体潤滑剤を添加した潤滑油の耐焼付き性を調べた.(1)フッ化黒鉛を適当な分散剤とともに添加すると耐焼付き性が著しく向上した.(2)窒化ホウ素も適当な分散剤によりフッ化黒鉛ほどではないが耐焼付き性が向上する.(3)二硫化モリブデン,グラファイトでは耐焼付き性の向上は認められなかった. 2.転がり疲れ試験においては試験円筒の表面粗さの影響を敏感に受けるため,潤滑油の評価に高硬さ側円筒を固定し低硬さ円筒を試験油ごとに交換するという方法が有効であることを明らかにしたが,さらに高硬さ側円筒のなじみの進行が低硬さ試験円筒の摩耗に影響し,転がり疲れの発生に影響することが明らかになり表面粗さの管理が極めて重要であることがわかった. 3.揺動運動を支持する転がり軸受に発生するフォールスブリネリングと呼ばれるフレッチングによる異常摩耗について,フレッチング寿命を摩耗による内外輪の相対変位が一定値に達するまでの揺動数で定義し,(1)グリース潤滑の場合は温度が高いほど油膜形成(電気抵抗法で測定)が良好で寿命が長くなる,(2)揺動角,揺動速度による寿命の違いが油膜形成状態の違いで説明できる,(3)油膜が形成されないような厳しい条件で固体潤滑剤を添加したグリースでは寿命が増大する可能性がある,などを明らかにした.
|
-
[Publications] 田中宏昌: "転がり疲れに及ぼす潤滑剤の影響" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議予稿集. ′97春,東京. 438-439 (1997)
-
[Publications] 和泉直志: "揺動転がり軸受のフレッチング摩耗" 日本機械学会九州支部講演論文集. No.988-1. 352-354 (1998)
-
[Publications] 和泉直志: "揺動下の転がり軸受のフレッチング摩耗" 日本設計工学会講演論文集. 平成10年春季(発表予定). (1998)