1996 Fiscal Year Annual Research Report
確率過程モデルによる乱流せん断流中の物質混合と化学反応に関する研究
Project/Area Number |
08650196
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
酒井 康彦 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20162274)
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Keywords | 確率過程モデル / 円管内乱流 / 拡散 / 化学反応 / 分子混合モデル |
Research Abstract |
平成8年度の研究は年度当初の研究実施計画に基づき遂行された.以下に研究の進展状況をまとめる. 目的(A)円管内スカラー量拡散場と化学反応に関する研究 まず,空間の1点での速度2次モーメントまでの一貫性のある確率過程モデルを,比較的短い拡散時間の軸対称拡散場(管中心におかれた小さな面源からのプルーム拡散場,壁面近傍におかれた微小幅のリング状帯熱源及び壁面から離れたリング状線熱源からのプルーム温度拡散場)の1次モーメント量(平均値)の計算に適用し,得られた計算結果を実験及び理論と比較した.その結果,本モデルにより計算された円管内の軸対称拡散場が,管壁付近を含む全ての管内領域で主流方向,半径方向ともによく実験や理論と合うことが示され,本モデルの有効性が再確認された.一方変動スカラー場および化学反応過程の計算には,いわゆる分子混合モデルが必要であるが,本年度は,まずCurlのモデルを格子乱流中の混合層内の2次の化学反応過程に使用し,その有効性を確かめた.今後このモデルを円管内流の各種拡散場に適用し,変動スカラー場及び反応場の計算を行う予定である. 目的(B)乱流噴流のような主流方向に非一様な乱流場での確率モデルの構築 これまでに開発された円管内流の確率過程モデルを主流方向に非一様な乱流場に適用するための理論的な検討を行った.その結果,モデルの拡張は主流方向に圧力勾配が無い時は,比較的容易であることがわかり,現在具体的なモデルの形の導出を行っている.また計算と比較するためのデータを,A+B→R,R+B→Sのような連続競争反応について収集した.現在,第2反応のみの場合の実験が進行中である.今後,拡張された確率モデルとCurlやHsuの分子混合モデルとの組み合わせにより,具体的な変動スカラー場と反応場を計算する予定である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 酒井康彦: "確率過程モデルによる管内乱流中のスカラー拡散場の数値的研究(管中心連続点源及び軸対称連続源の場合)" 日本機械学会第74期全国大会講演論文集. 第3巻. 261-262 (1996)
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[Publications] 酒井康彦: "液中乱流噴流場で連続競争反応に関する研究" 第28回乱流シンポジウム講演論文集. 73-74 (1996)
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[Publications] 酒井康彦: "確率密度関数(pdf)法による乱流混合層中の反応スカラー場の数値計算" 第10回数値流体力学シンポジウム講演論文集. 200-201 (1996)
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[Publications] Y.Sakai: "Diffusion in Turbulent Pipe Flow Using a Stochastic Model" JSME International Journal,Series B. Vol.34・No.4. 667-675 (1996)