1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
林 秀千人 長崎大学, 工学部, 助教授 (10173022)
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Keywords | 流体機械 / 空力音響 / 送風機 / 羽根車 / 熱交換器 |
Research Abstract |
昨年度の実験結果から、空調などに用いられる従来の低圧遠心ファンの流動特性とその問題点を明確にした。本年度はその結果をもとに、流体力学的特性と騒音の特性の向上を計る目的で、ファンの構成要素の相互の関係を調べてマッチングを試みた。昨年度の結果から、羽根車の入口出口面積比がおよそ1.0近くで低圧ファンの流体力学的特性が良好となることより、このような条件のもとで羽根の形状・材質を変化させて、羽根車流出後に置かれる装置とのマッチングの特性を調べた。 その結果、羽根の弦長を長くすると羽根の負荷分布が緩やかになるために羽根の性能は多少良くなる。弦長の20%程度の変化に対して10%程度の圧力の上昇を期待できる一方、効率はほとんど変わらない。また、羽根車での速度分布はあまり変わらず騒音の特性にはほとんど相違は現れなかった。ただ、低圧の遠心ファンでは羽根車入り口から出口までがどうしても短くなるために前面シュラウド側の流れに比較的大きなひずみが生じそれが大きな影響を及ぼしている。 騒音面の特性の向上を図る目的で羽根の材質を吸音性のあるものにしたが、その効果は得られなかった。逆に羽根表面での摩擦の増加によって損失が若干増加する傾向にある。 羽根車とその出口に置かれる装置(熱交換器や静翼、駆動用支持装置など)とのマッチングの関係では、羽根車にそってまわりを円周状に囲む場合には流れの特性、騒音の特性ともに良好であるが周方向に不均一、非対称な配置のものがあると流れの偏流が大きく、流体力学、騒音両特性ともに大幅な悪化をもたらす。しかもその影響は離れた場合にも大きい。 以上のことから、空調等に用いられる低圧遠心ファンの羽根車の総合的な特性が評価できた。現在それをもとに設計段階で以上の評価ができうるような推定法を検討中である。
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[Publications] 林秀千人: "スクロールレス・ターボファンの騒音に関する実験的研究(ベルマウス出口形状及び口金すきまの影響)" 日本機械学会九州支部・中国四国支部講演論文集. 968-3. 258-260 (1996)
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[Publications] 林秀千人: "後流の周期的変動現象と後流特性量との関係について(翼形状の影響)" 日本機械学会九州支部・中国四国支部講演論文集. 968-3. 255-257 (1996)
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[Publications] 児玉好雄: "チューブラ-遠心送風機の空力特性と騒音特性の実験的研究(羽根車入り口と出口の面積比の影響)" 長崎大学工学部研究報告. 27-49. 191-198 (1997)
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[Publications] 林秀千人: "離散渦法を用いた平板翼から発生する離散周波数騒音の予測" 日本機械学会九州支部講演論文集. (3月発表予定). (1998)
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[Publications] 児玉好雄: "チューブラ-遠心送風機の特性に及ぼすベルトケースの影響" 日本機械学会九州支部講演論文集. (3月発表予定). (1998)