1997 Fiscal Year Annual Research Report
血球運動を考慮した微小血管の血流抵抗の流体力学的評価
Project/Area Number |
08650229
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
関 眞佐子 関西大学, 工学部, 助教授 (80150225)
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Keywords | 微小血管 / 血流抵抗 / 数値シミュレーション / 赤血球 / 白血球 |
Research Abstract |
本年度は、血液中の血球の存在が微小血管の血流抵抗に及ぼす影響について、数値モデルを用いて解析した。まず赤血球の影響として、微小血管内で観察されている赤血球の一層流れや二層流れなど種々の流れパターンについて、赤血球の運動および媒質の流れを数値解析して、血流抵抗を評価した。解析の結果、赤血球の運動はその動径位置、および隣り合う血球間距離によって、並進速度や回転速度が大きく影響されることが分かった。赤血球が管軸上に配置している軸対称な流れに比べ、非対称な流れの血流抵抗は大きく、しかもこの傾向は赤血球が管軸から離れるほど、そして血球間距離が狭いほど顕著になった。 次に、白血球の影響として、(a)血流量の減少時に細静脈でしばしば観察される白血球の血管壁への粘着、および(b)毛細血管内の白血球背後に形成される高密度で低速の赤血球の一団の流れ、を取り扱い、それぞれについて血流抵抗を数値的に調べた。(a)では、白血球が血管壁へ粘着している場合には、粘着していない場合に比べて血流抵抗はかなりおおきくなり、その値は粘着している白血球の血管壁面での配置の仕方や管径によっても変化することがわかった。(b)では、赤血球単独で調べた場合と同様に、白血球背後の赤血球の密な流れが、血流抵抗を著しく上昇させることが示された。 以上の結果から、赤血球間、赤血球と白血球間、あるいは血球と血管壁間の相互作用が、微小血管の血流抵抗を決定する重要な因子となること、そして白血球の存在は単独ではそれほど影響しないが、血管壁や赤血球と相互作用することによって血流抵抗を顕著に増加させることが分かった。
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[Publications] 関 眞佐子: "初心者のための流体力学" 日本バイオレオロジー学会誌. 11(1). 22-32 (1997)
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[Publications] Masako Sugihara-Seki: "Asymmetric Flows of Spherical Particles in a Cylindrical Tube" Biortheology. 34.3. 155-169 (1997)
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[Publications] Masako Sugihara-Seki: "Force Acting on Spheres Adhered to a Vessel Wall" Biorfeology. 34.4&5. 249-260 (1998)