1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650234
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 征洋 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (10042011)
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Keywords | 氷 / 融解 / 水溶液 / 濃度拡散 / 2重拡散対流 |
Research Abstract |
(1)比較的に小さな融解系(氷板高さH=20mm,液層横幅L=5mm,10mm)で垂直氷板の融解実験を行った.最初,氷板と水溶液との温度が共に-5℃のごとく同じ場合について実験を行った結果,氷板は濃度差を駆動力として融解系の温度降下を伴いながら自発的に融解した.周囲から熱を加えないにもかかわらず融解時間が10分で約1kg/m^2もの融解量が得られた.次に水溶液の温度が氷板温度(-5℃)よりも高く0℃にした場合には,約40%融解量が増加した.水溶液の温度が融解速度に及ぼすメカニズムの解明は難しいが,融解面における濃度拡散が支配的な役割を演じているようである。Lが減少して水溶液の体積が小さくなると,これに応じて融解量も減少するが,融解開始から5分程度では,あまり融解量に差が認められなかった. (2)次に,比較的に大きな融解系(氷板高さH=100mm,液層横幅L=15mm,25mm,50mm)で同様な融解実験を行って液層内の対流の可視化観察を行った.Lによる影響はあるものの,対流模様は大変類似している.氷板の融解による融解液の濃度拡散による水溶液の密度減少のための浮力が働き,融解面近傍で大変薄い濃度境界面が現れ,融解液は上昇し,これが液層上部に広がって,大変流れの遅い濃度成層領域が形成された.一方,濃度境界層の外側では融解よる潜熱吸収による温度降下のため,水溶液の密度が増大して反時計回りの大きな強い渦か現れた.この領域の水溶液は融解液に汚染されず,初期の濃度を保っている.すなわち,濃度非汚染領域が形成され,これが時間の経過に連れて次第に小さくなる挙動が観察された。
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