1996 Fiscal Year Annual Research Report
微小発熱面を用いた単成分および2成分混合液体の沸騰伝熱機構の解明
Project/Area Number |
08650243
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長崎 孝夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (30155923)
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Keywords | 沸騰 / 微小発熱面 / 可視化 / 数値解析 |
Research Abstract |
基板上に離脱気泡径より小さな微小発熱面を蒸着し、空間的に固定された発泡核から単一気泡を生成することにより沸騰伝熱の素過程を調べた。発熱素子は一辺が50および100μmの正方形状のITO薄膜で、素子の電気抵抗の温度依存性をもとに素子温度を測定する。さらに気泡挙動を高速度ビデオ撮影し素子温度の非定常変化と対応させることにより気泡の生成離脱に伴う表面熱伝達の変化を調べた。媒体としてフロリナ-トFX3250を用いたサブク-ル沸騰の実験より気泡離脱直後に素子温度が低下し、発熱面上で新たな気泡が成長する際に局所表面熱伝達率が著しく増加することが分かった。さらにマッハツェンダー干渉計により気泡成長・離脱に伴う液相温度場を可視化した。本沸騰系では流体の温度変化が微小発熱面の鉛直上方および基板表面近くに限られ、その他の部分では液温が一様なため、気泡の成長・離脱に伴う流体温度場の変化、および気泡表面と基板表面近傍の温度分布が有限および無限干渉縞により明瞭に観察でき、離脱気泡の伴流の効果に加え、新たな気泡の発生初期の急速成長に伴う流れが流体中の熱輸送に寄与することが分かった。以上の実験に加え、基板内の熱伝導と連成した気泡の成長挙動につきMAC法に基づく数値解析を行った結果、素子温度時間変化の測定結果が固気液接触界線近傍での基板表面温度の低下により説明できることが分かった。さらにR113-R11二成分系(R11体積割合75%)について可視化実験を行ったところ単成分系に比べ発泡点付近で液温が高く、蒸発に伴う液相低沸点成分濃度の低下が沸騰熱伝達率低下の原因と考えられることが分かった。
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