1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650271
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 昌志 青山学院大学, 理工学部, 教授 (60082830)
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Keywords | 自然対流 / 懸濁液 / 沈降速度 / 熱伝達 / 粒度分布 / 温度分布 |
Research Abstract |
垂直冷却壁・水平加熱壁をもつ矩形容器内における水溶液-固体微粒子懸濁液の自然対流現象を実験により解明した。懸濁液の自然対流は温度差に基づく対流と粒子の濃度分布に基づく対流が干渉し,さらに粒子の沈降が影響する.本研究では幅80mm,高さ120mmの矩形容器内に懸濁液を入れ,両垂直壁温度を一定に保ちながら底面中央部幅40mmの面から加熱し,自然対流を発生させた.冷却壁温度を10℃に固定し、加熱面温度を変えて実験を行った。粒度分布の影響を検討するため、懸濁液には(1)粒子径が1〜30μmに分布しているガラスビーズ(平均粒子径9.8μm)を水に分散させて3wt%の濃度にした液と、(2)粒子径の分布を1〜5μm(平均粒子径2.0μm)と狭くした濃度0.6wt%の液の2種類を用いた。以上の実験から以下の結果を明らかにした。(1)の実験において、上下に多数の層が出現し、粒子の沈降に伴い順次消滅するが、加熱壁温度を高くすると温度差による対流が活発になり、加熱壁面上の熱伝導率が大きくなり、各層の温度も高くなる。対流が強くなることは粒子の沈降を早める効果をもたらし、層が消滅するまでの時間を減少させる。高い温度で層を維持するために粒子濃度、平均粒子径が高くなる。(2)の実験においては懸濁液の粒子径の分布が狭いため、(1)の実験と異なり、多数の層は発現せず、2層に分かれるのみであった。層境界はゆっくりと降下し、ある位置で上昇に転じ、速やかに最上部に達して消滅する。加熱面温度が低い方が低い位置まで降下することが分かった。多数の層が出現し消滅する過程は、粒子径の分布による沈降速度の違いが重力方向の粒子濃度分布を形成し、下部加熱による温度差対流と干渉して生じた。層境界の降下と上昇は、上側の層の冷却面積の増加による上側の層の平均温度の低下すなわち液密度の上昇のため、密度成層が維持できなくなったことによる。
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[Publications] 岡田昌志 他3名: "垂直加熱・冷却壁による水-固体微粒子懸濁液の二重拡散対流" 第34回日本伝熱シンポジウム講演論文集. vol.1. 87-88 (1997)
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[Publications] Masashi OKADA,et al.: "Natural convection of water-or aqueous solution-fine particle suspension in a rectangular cell" the 11th International Heat Transfer Conference. (1998)