1997 Fiscal Year Annual Research Report
軽水炉シビアアクシデント時の溶融凝固燃料の冷却・事故拡大防止に関する研究(溶融燃料凝固物と圧力容器内壁間の狭間隙内侵入水による冷却可能性について)
Project/Area Number |
08650272
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
小泉 安郎 工学院大学, 工学部, 教授 (20215156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 浩靖 工学院大学, 工学部, 講師 (40255609)
宮下 徹 工学院大学, 工学部, 講師 (00100371)
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Keywords | 軽水炉シビアアクシデント / 安全性 / 狭間隘流路 / 流動沸騰 / 二相流 / 限界熱流束 / フラッディング / 対向流落下水制限(CCFL) |
Research Abstract |
平成8年度は昨年度の装置完成に引き続いて、実験を進めた。実験流体はR-113であり、実験圧力は0.1Mpaであった。垂直狭隘環状流路の(1)下部密閉系対向流限界熱流束実験、(2)液下端排出系対向流限界熱流束実験、の2種の実験を行った。流路間隙は0.5mm、1mm、2mm、更に今年度新たに作成した流路の5mmであった。なお、テスト部加熱長さは220mm、流路外径は34mm〜36mmの範囲にある。これら実験に並行して伝熱面状況と流動状況の目視観察も行い、ファイバースコープとCCDカメラを用いてVTRにその画像を記録した。得られた結果は以下のとおりである。 狭間隙の本実験条件下での伝熱様式は核沸騰であった。加熱熱流束上昇にともない限界熱流束状態(CHF)を迎える。ただしCHF発生では急激な伝熱面温度上昇には至らず、更に熱流束を上げた段階で初めて急な伝熱面温度上昇を迎える。狭流路(11)下部密閉系、(2)液下端排出系の場合ともに、対向流落水制限(CCFL)が発生し、伝熱面への液の供給が抑制され、伝熱面上に部分的に間欠的乾き面が形成されてCHF発生に至っていた。ただし、このCHF時点では、伝熱面温度の大幅な上昇は生じない。更に上昇蒸気流量が増加し、すなわち加熱量が増加し、液流下が更に抑制されて、液流下量が液蒸発量を上回る状態となると、伝熱面上に大きな乾き面が定在する状態となり、伝熱面温度の大幅な上昇に至っていた。なお、流路間隙か広くなるにつれ、CCFL発生からCHF発生までの期間は短くなる傾向にあるようである。狭流路(1)下部密閉系、(2)液下端排出系間で限界熱流束値q_<CHF>及び伝熱面温度急上昇開始熱流束値q_<EXC>に差異は見られていない。本実験の垂直狭隘環状流路q_<CHF>は、既存の自然循環流動下の相関式から求まるq_<CHF>に比べて約1オーダー低い値であった。
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