1997 Fiscal Year Annual Research Report
電子供与性物質を添加した高分子絶縁体による交流部分放電の低域
Project/Area Number |
08650367
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山野 芳昭 千葉大学, 教育学部, 教授 (90134791)
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Keywords | 部分放電 / ボイド放電 / ジアゾ系物質 / 添加剤 |
Research Abstract |
ポリエチレン(PE)にジアゾ系物質を添加した材料を用いて、添加剤によるボイド放電放電の低減効果について検討を行った。使用した添加剤は、p-アミノアゾベンゼン(アゾベンゼンに電子供与性の基を付加させたもの,p-a)およびp-ニトロベンゼンアゾレゾルシン(アゾベンゼンに電子供与および電子受容性の基を付加させたもの,p-b)を用いた。試料は3層構造のものを作製した。すなわち、高密度PEフィルム(厚さ20μm)の上に添加剤を混入したPE溶液(溶媒はトルエン)を展開し、それを乾燥させたフィルム(厚さ30μm)を2枚用意し、それらのフィルムの添加剤入りPE面を向かい合わせにして、厚さ100mmのPEフィルムを挟んだ。挟んだフィルムには直径1mmの穴が3つあけてある。このような試料(直径1mm高さ100μmの円柱状ボイドが3ヵ所存在する試料)を用いて、添加剤によるボイド放電の低減効果について検討を行った。以下に、本年度の成果をまとめて示す。 (1)ジアゾ系物質をPEに添加することによって、材料内のボイドで発生する部分放電パルス(PDパルス)を抑制することができた。(2)添加剤の濃度はp-a,p-bのいずれも、0.05wt%〜0.1wt%の範囲において、PDパルスの抑制効果が最も高く観測された。(3)PDパルスの抑制効果は、部分放電開始電圧付近の印加電圧において顕著に観測さた。(4)いずれの添加剤でも、PDパルスの放電電荷量の積算値(600 cycles)および発生数は、無添加試料と比較して、約90%の低減効果があった。(5)これら添加剤によるボイド放電の低減効果は、添加剤分子がボイド壁面に蓄積する電荷をトラップすることによるものと考えられた。なお、ボイド壁面からの二次電子放出の抑制等、添加剤分子の励起に基づくPDの抑制効果は少ないことが実験より示唆された。
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