1996 Fiscal Year Annual Research Report
固相拡散によるシリコンウェハ内への浅いpn接合の低温における形成方法の確立
Project/Area Number |
08650411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 豊 日本工業大学, 工学部, 助教授 (10168213)
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Keywords | 固相拡散 / シリコン / 不純物 / 低温プロセス |
Research Abstract |
シリコンウェハ-内に低温でpn接合を形成するため,シリコンへの不純物の低温における拡散を,ハロゲンランプからの光照射加熱により試みた。シリコンウェハ-の深さ方向へのキャリアの濃度分布を測定し,リンやホウ素がどのような濃度分布をもって拡散したかを調べた。この結果から,リンとホウ素の拡散速度を反映する拡散係数という物理量を求めることができた。具体的には,以下の知見が得られた。 1.本方法の760℃におけるリンとホウ素の拡散係数は,電気炉等を用いた熱伝導現象による加熱方式(従来法)における950℃の値に相当していることが明かとなった。すなわち,拡散速度が速く,低温での拡散によるn型層とp型層の形成が可能となった。従来法では760℃での拡散は全く不可能である。 2.シリコン表面や拡散層の断面の観察により,欠陥の発生はほとんどないことが確かめられた。つまり,本方法はシリコンウェハ-の質を劣化させることがないと言うことである。 3.本方法によりpn接合ダイオードを作製し,その電気的特性の測定を行ったところ,良好なダイオード特性を得ることができた。これは,本方法を実際の電子デバイスの作製に用いても問題がないことを示している。 4.ガラス板をフィルターとしてハロゲンランプからの光を減じた結果,540℃という極めて低温でのシリコンへの不純物の拡散が確認された。これは,熱効果をもつ光と,拡散の増速を引き起こし低温での拡散を可能にする光が,それぞれ異なる波長であることを示唆している。 なお,現在ハロゲンランプとは放射光のピーク波長が異なるキセノンランプを用いてリンの拡散を試み,増速拡散に効果のある光の波長について検討中である。成果は近々出るものと考えられる。
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