1997 Fiscal Year Annual Research Report
固相拡散によるシリコンウェハ内への浅いpn接合の低温における形成方法の確立
Project/Area Number |
08650411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 豊 日本工業大学, 工学部, 助教授 (10168213)
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Keywords | 固相拡散 / シリコン / 不純物 / 低温プロセス |
Research Abstract |
シリコンウェハ-内に低温でpn接合を形成するために、シリコンへの不純物の低温における拡散をハロゲンランプやキセノンランプからの光照射により試みた。低温拡散が可能となる原因は、光照射加熱において、通常よりも拡散の速度が速くなる(増速拡散)からである。本年度は、その増速拡散の特徴を調べ、メカニズムについて検討した。具体的には以下の知見が得られた。 1.シリコンウェハ-の結晶面方位が(100)の方が(111)よりも増速が大きい。つまり、拡散に異方性がある。通常、シリコン中の不純物拡散は等方性であるので、注目すべき現象である。 2.リンとホウ素は顕著な増速拡散を示すのに対して、ヒ素はほとんど増速拡散しない。 3.拡散前にウェハ-表面上に不純物の拡散源の膜を作製するが、その膜厚が薄いほど増速が大きくなる。 4.光源としてキセノンランプを用いると、若干増速効果が増す。これは、波長が1.0μmより短い光が関与していることを示唆しているが、その効果が顕著でなかったために、有効な波長の範囲を特定するまでには至らなかった。現在、超高圧水銀ランプおよび低圧水銀ランプにより、紫外を含めたより短波長の光の効果を調べており、次年度には結果が出るものと考えられる。 以上の内1と2から、増速拡散の原因は、シリコン内で自己格子間原子と呼ばれる点欠陥の濃度が増加したためであることが示唆される。また、3はその自己格子間原子の増加のためには、光が拡散源とシリコンの界面に強く照射される必要があることを示唆している。つまり、自己格子間原子は拡散源とシリコンの界面で発生していると考えられる。これらのように、本年度は拡散を増速させている直接の原因を明らかにすることができた。
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[Publications] Y.Ishikawa, M.Maruyama: "Diffusion of Phosphorus and Boron into Silicon at Low Temperatures by Heating with Light Irradiation" Japanese Journal of Applied Physics. vol.36, No.12A. 7433-7436 (1997)
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[Publications] 石川豊: "光照射加熱によるシリコンへの低温における不純物の拡散" 第17回表面科学講演大会講演要旨集. 134-134 (1997)
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[Publications] 石川豊、丸山光晴: "光照射加熱によるSiへの低温における不純物の拡散(III)-増速拡散のPSG膜厚依存性-" 第58回応用物理学会学術講演会講演予稿集 第2分冊. 815-815 (1997)