1997 Fiscal Year Annual Research Report
集積回路の超高速化に対応する分布定数・集中定数混在系としての解析手法の研究
Project/Area Number |
08650435
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西 哲生 九州大学, システム情報科学研究科, 教授 (40037908)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 雅英 九州大学, システム情報科学研究科, 助教授 (00257247)
香田 徹 九州大学, システム情報科学研究科, 教授 (20038102)
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Keywords | 分布定数素子 / 分布定数解析 / 分布・集中混在系 / 非線形回路 / 集積回路 |
Research Abstract |
集積回路(VLSI)またはVLSIを複数組合わせたシステム全体の動作速度は、従来は主として論理ゲートでの遅延で支配されていた。しかし近年、VLSIが微細化・高集積化し回路のクロック周波数が高くなるに従って、回路及びシステム全体の動作速度は、配線(Interconnect)での遅延に依存するようになりつつある。また配線部分で生じるクロストーク、反射、リンギング、オーバーシュート、アンダーシュート、減衰、波形歪み等に対する許容範囲も益々厳しくなっている。上でいう配線とは、VLSIチップ内の配線(信号用配線、接地用配線、電源用配線)、プリント基板上のチップ間配線(プリント配線)、及びプリント基板相互間の配線等を意味する。 高周波クロックに対しては、配線部分を分布定数素子とみなしたより精密な回路シミュレーションが必要となり、分布・集中混在系に対する回路解析は実用上極めて大きい意義をもつ。 分布・集中混在系の解析手法の開発に当たっては、上述のような問題の多様性により、手法及び考え方も多岐にわたり、これらを統一的・解析的に取扱うことはむつかしい。しかしながら共通の基盤として、1)分布定数特性の集中定数回路による近似等価回路の研究、2)混在系に対する数値解析の効率化・高速化手法の開発、等が重要である。 本研究の成果は研究成果報告書(別添)に詳しく報告しているが、この報告の目次中、論文15)は本研究に関する基礎的事項を解説した招待論文である。また論文10)では分布定数系を解析する新しい方法として近年注目されるWDF(ウェーブディジタルフィルタ法)を分布・集中混在系解析へ適用するための工夫を提案している。論文4)、5)および12)は、前述の携帯電話用900MHz帯送受信器用誘電体フィルタに対する新しい等価回路の導出と、これを利用した回路構成に関する定理を与えている。 さらに、回路解析では常に重要な平衡点の解析について、論文2)、7)、9)、14)等を発表している。論文1)は数値計算に関わる誤差を伴わない非負値性の判定法を与えている。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 西 哲生,高橋 規一: "実係数を持つ多項式の非負値性の判定法" 電子情報通信学会論文誌A. J79-A. 930-936 (1996)
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[Publications] T.Nishi.: "A Transistor Circuit can Possess Infinitery Many Solutions on the Assumption that the First and Second Derivatives of V-I Curves of Nonlincar Resistors are Positive" Proceeding of ISCAS′96. 20-23 (1996)
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[Publications] 高橋 規一,西 哲生: "ある種の巡回形結合行列をもつニューラルネットワークの平衡点の個数と引き込み領域について" 九大システム情報科学研報. 1. 101-104 (1996)
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[Publications] 盧鋒,西 哲生,駒崎 友和: "誘電体フィルタの分布・集中混在系等価回路" 九大システム情報科学研報. 1. 105-110 (1996)
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[Publications] Feng Lu,Tetsuo Nishi: "A Realizability Condition for Bandpass Ladders Composed of Two Kinds of LC Resonant Sections" Research Reports on ISEE,Kyushu University. 1. 19-23 (1996)
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[Publications] Masato Ogata,Tetsuo Nishi: "A Study on the Stability of Equilibrium Points of Transistor Circuits" Proceedings of NOLTA′96. 37-40 (1996)
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[Publications] Tetsuo Nishi: "A Theorem on an Ω-Matrix Which is a Generalization of the P-Matrix" IEICE Trans.Fundamentals. E79-A. 1522-1529 (1996)
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[Publications] Tetsuo Nishi,Kousuke Imai: "Optimization by Means of Neural Networks for Combinatorial Problems -On the Uesaka′s Conjecture-" Proceedings of ISCAS′97. 617-620 (1997)
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[Publications] F.Lu,T.Nishi,Z.Liu,Z.Zhou: "On the Realizability of Bandpass Ladders Consisting of Only Two Kinds of Mixed Sections of Lossless Lumped-and Destributed-Elements" Proceedings of ISCAS′97. 349-352 (1997)
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[Publications] Tetsuo Nishi: "On the Uesaka′s Conjecture Concerning the Optimization by Means of Neural Networks" Proceedings of NOLTA′97. 413-416 (1997)
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[Publications] 西 哲生: "21世紀への回路理論の基礎(V)-分布定数回路の解析-" 電子情報通信学会誌. 81. 202-210 (1998)
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[Publications] 西 哲生,野中 昭男: "上坂の推測に関わるあるクラスの最適化関数" 電子情報通信学会技術研究報告. CAS96. 1-6 (1997)
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[Publications] 西哲生,緒方将人: "トランジスタ回路における直流動作点の安定性に関する一考察" 電気学会技術研究報告. ECT-97. 27-30 (1997)
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[Publications] 西 哲生,松本 和人,岡山 典嗣: "分布・集中混在回路のWDFによる解析について" 電子情報通信学会技術研究報告. NLP97. 27-34 (1997)
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[Publications] 西 哲生,盧鋒: "有理関数による最小p乗近似とミニマクス近似の関係について" 電子情報通信学会技術研究報告. CAS97. 65-72 (1998)