1996 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯地域での開口合成法を用いた降雨減衰補償に関する研究
Project/Area Number |
08650437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安田 茂 鹿児島大学, 工学部, 助手 (30253909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 理三雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (70244259)
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Keywords | 開口合成 / 降雨減衰 |
Research Abstract |
鹿児島地方では、降雨特性は亜熱帯性の特徴を示し、衛星放送の下り回線マージンを越える降雨強度50mm/h以上を記録する時間が多く、さらに台風の影響も大きい。そこで減衰補償ができ且つ強風の影響も少ない受信方法として、2台の小型アンテナを用いた開口合成アンテナの構築を試みた。 まず、Gunnダイオードを用いた共用10GHz帯局部発振器の製作をおこない、発振出力21dBmを得ることができた。次に市販のBS放送アンテナ(コンバータ-)に外部から局部発振信号を注入できるように改良したものに、測定器用の電力合成器を用いて、信号供給系の調整をおこないながらデータを取得した。2台のアンテナは他の研究の基礎実験と兼ねるために、約8mの間隔をもって設置している。 得られた結果として、用いた電力合成器には6dBmの挿入損があるために受信信号強度を稼ぐことはできなかったが、受信信号強度のうねり(アンテナ間距離を8mとったことによる)から衛星の軌道位置変動を検出することができた。 開口合成法としての基礎データを得るために、挿入損の小さい電力合成器として、ウィルキンソン型電力合成器を設計・製作した。アンテナ間距離はそのままで、基礎データの取得を行った。 現在での解析結果は、同口径の単一アンテナと比較して、約1.1dBの受信レベルの向上が得られていることがわかった。理論上では3dBの向上が見込まれるが、この値に達していないのは、電力合成器のインピーダンス不整合なども含めた挿入損によると思われる。 次年度以降には、電力合成部を、挿入損をなくすように改良し、また2台のアンテナを近接して設置し、衛星の位置変動による受信レベルの変動を小さくした状態で、豪雨・台風期のデータを取得し、開口合成法の有効性を評価する。
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