1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波リモートセンシングによる石狩平野の積雪・植生のモニタリング
Project/Area Number |
08650439
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hokkaido Tokai University |
Principal Investigator |
阿波加 純 北海道東海大学, 工学部, 教授 (40232079)
|
Keywords | リモートセンシング / JERS-1 / 合成開口レーダ / マイクロ波 / 散乱断面積 / 積雪 / 植生 / 水田 |
Research Abstract |
本年度は、地球資源衛星1号(JERS-1)のマイクロ波合成開口レーダ(SAR)で得られた石狩平野のデータ9巻をリモートセンシング技術センターから購入し、昨年度購入したJERS-1の光学(OPS)データとともに処理、解析した。今回入手したSARデータは、1996年初頭から1997年春にかけて、衛星が石狩平野を約2ヶ月間隔で通過した際の連続したものであり、石狩平野における積雪や植生の季節変化を調べるのにうってつけのものである。 水田に注目して、SARの規格化された散乱断面積(NRCS)の季節変化を調べたところ、春は水田に水がはられているので、斜め方向から観測しているSARの電波は平坦な水面で大部分が鏡面反射され、衛星には戻ってこないためにSARの受信電力は低くなり、散乱電力に比例する形で定義されているNRCSは小さくなる。気温が高くなり稲が成長をはじめると体積散乱でSARの受信電力は高くなり、NRCSが大きくなる。実際、8月頃のNRCSは、他の月のものに比べて大きくなっている。これは理論的にも予想されていることである。 非常に不可解なのは、冬季に水田が積雪に覆われているときのデータである。従来から知られている理論予測では、積雪時のNRCSは、積雪が無い場合に比べて小さくなると言われているが、今回データ解析した結果では、積雪があった方がNRCSが大きいと言う理論とは逆の結果になった。水田は秋に耕され、表面の凹凸が大きくなるためにNRCSが冬季に大きくなると考えることもできるが、これだけでは積雪が最も多くなる2月頃にNRCSが極大をとることを説明しきることができない。今後はデータ数を増やすことと、OPSで地表面の状態を詳しく調べることで、積雪時にNRCSが大きくなることの原因究明を行う予定でいる。
|