1996 Fiscal Year Annual Research Report
高サイクル引張せん断応力を受けるコンクリートの破壊靱性評価法の開発
Project/Area Number |
08650529
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
丸山 久一 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30126479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 匠 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (40242002)
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Keywords | コンクリート / アンカーボルト / ひび割れ進展 / 引張せん断応力 / 疲労強度 / インク注入法 / 破壊力学 / 算定式 |
Research Abstract |
本研究の目的は、コンクリートブロック中に埋め込んだアンカーボルトに高サイクルで繰返し荷重を加え、コンクリートがコーン状に破壊する場合の実験結果から、高サイクルで引張せん断応力を受ける場合のコンクリートの疲労破壊強度を算定するものである。この種の研究は、これまで静的な荷重の下での研究が多く、疲労性状はほとんど研究がなされていない。しかし、種々の配管等の固定、振動する機械の固定等では、アンカーに高サイクルの繰返し荷重が加わることから、アンカーの疲労設計を行う上で、コンクリートの疲労強度を明らかにする必要が生じている。 アンカーシステムの静的な載荷実験結果を基に、土木学会で提案しているコンクリートの疲労強度式を用いた場合、アンカーシステムの疲労耐力を過大に評価することが、一連の実験より明らかになった。その理由として、アンカーシステムにおける既往の耐力算定式(静的載荷)では、平均的な応力状態を考慮していること、コンクリートの引張疲労強度に関するデータが十分でないこと等があげられる。 そこで、本研究では、先ず、アンカーボルトに加える荷重の増加とともに、コンクリート中のひび割れの進展を実際に監察するために、ひび割れに沿ってインクを注入する手法を開発した。この手法の有効性を静的載荷試験により確認した後、高サイクル繰返し試験において、所的の繰返し載荷の後にインクを注入し、試験終了後に当該繰返し回数の下でのひび割れの進展領域を観察した。数多くの試験結果を整理して、ひび割れ先端での応力集中およびひび割れの新たな進展を、破壊力学的考察および損傷の累加則に基づいてモデル化し、アンカーシステムにおけるコンクリートの疲労強度を精度よく推定する算定式を提案した。
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[Publications] ザイディール: "A Testing Method of Crack Growth in Concrete by Pull-out Test of Anchor Bolt" コンクリート工学年次論文報告集. V.18,No.2. 575-580 (1996)
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[Publications] 高橋剛: "繰返し引張応力下におけるコンクリートの破壊プロセスに関する研究" コンクリート工学年次論文報告集. V.18,No.2. 587-592 (1996)
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[Publications] ザイディール: "Fatigue Behavior of Concrete in Anchor System" 構造工学論文集. 第43A号(発表予定). (1997)