1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ骨材反応と鉄筋腐食によるコンクリートの複合劣化機構
Project/Area Number |
08650530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川村 満紀 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20019730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 和之 金沢大学, 工学部, 教授 (50115250)
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Keywords | アルカリシリカ反応 / 鉄筋腐食 / 複号劣化機構 / 塩分環境 / 電気化学的測定 / 実態調査 / 融雪・融氷剤 |
Research Abstract |
塩分環境条件下において、アルカリシリカ反応がコンクリート中の鉄筋の腐食におよぼす影響について実験的検討を行なった結果、次のような成果が得られた。 (1)塩化ナトリウムおよび人工海水中に浸漬した反応性骨材含有モルタルには、多数のひびわれが発生した。しかし、それらのモルタル中の鉄筋の腐食の電気化学的モニタリングの結果、アルカリシリカ反応の発生は、鉄筋の腐食を促進するようには作用していないことが、明らかになった。反応性骨材を含有するモルタルでは、多数のひびわれを通して塩化物イオンが浸入したと考えられる。しかし、鉄筋の周囲は、アルカリシリカゲルの膜で覆われていることが、判明した。したがつて、反応性骨材含有モルタル中の鉄筋の腐食が標準砂モルタル中のそれに比べて特に顕著でなかったのは、アルカリシリカゲルの膜による塩化物イオンの吸着、または鉄筋の、比較的pHの高いアルカリシリカゾルによる被覆または、それら両者によるものと推察される。 (2)細孔溶液の分析より、海水中のモルタル内部の塩化物イオン濃度は、塩化ナトリウム中のモルタル内部のそれよりもかなり低い。これは、海水中のモルタル供試体の表面に生成されたアラゴナイトおよびブルーサイトの緻密な層の形成によるものと考えられる。
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