1997 Fiscal Year Annual Research Report
土木構造部材に生じる低サイクル疲労現象に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08650544
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘石 和雄 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (80227107)
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Keywords | 低サイクル疲労 / ひずみ履歴 / ひずみ振幅 / 耐震性能 / ひずみ速度 |
Research Abstract |
本研究では,土木構造部材に生じる低サイクル疲労現象解明のための基礎的検討として,鋼材に生じるひずみ履歴に着目して以下の解析的,実験的検討を行った. 1.円形鋼製橋脚の地震時ひずみ履歴に関する解析的検討 円形鋼製橋脚を対象に,座屈位置でのひずみ履歴を解析的に解明した.解析に当たっては,計算の効率化を目的として,疑似動的実験のコンセプトを解析に応用する手法を提案した.その結果,地震時に実鋼製橋脚に生じると考えられるひずみレベルを定量的に明らかにすることができた.さらに,解析結果に及ぼす鋼材の構成則の影響について詳細に検討し,降伏後剛性や降伏棚が地震時における変形挙動およびひずみ発生挙動にどのような影響を及ぼすかについて明らかにした. 2.コンクリート充填鋼管柱に生じる鋼材ひずみの解明 コンクリート充填鋼管柱は鋼とコンクリートとの力学的相互作用により座屈が極めて進展しにくく,鋼材の低サイクル疲労がより重要な破壊モードとなる部材であると考えられる.そこでコンクリート充填鋼管柱の耐荷機構および鋼管のひずみ履歴について明らかにすることを目的として,実験的,解析的検討を行った.その結果,鋼管には非常に高い2軸のひずみ場が生じることを示し,さらに鋼管とコンクリートの接触,離間による鋼材ひずみへの影響などについて定性的にではあるが明らかにすることができた. 3.鉄筋コンクリート柱の鉄筋に生じるひずみ履歴の解明 近年の主鉄筋の重拘束化,高強度,太径鉄筋の利用などにより,鉄筋に大ひずみの繰返しが生じる可能性が高くなっている.そこでファイバー要素を用いた有限要素解析により,鉄筋コンクリート部材の地震時挙動を解析し,鉄筋に生じるひずみ履歴について定量的に明らかにした.その結果,通常の鉄筋を使用した場合には実地震時に鉄筋が低サイクル疲労損傷を受ける可能性は低いことなどを明らかにした.
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[Publications] Tateishi K.and Arai T.: "Analytical Investigation on Strain Behavior of Steel Bridge Piers" THE 4^<th> Japan-Korea Joint Seminar on Steel Bridges. (1997)
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[Publications] 舘石和雄・荒井智代: "鋼製橋脚の直下型地震時ひずみ挙動" 第46回応用力学連合講演会. 265-266 (1997)
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[Publications] 荒井智代・舘石和雄: "鋼材の構成則が鋼製橋脚の地震時挙動に与える影響について" 土木学会第52回年次学術講演会概要集共通セッション. 44-45 (1997)
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[Publications] 舘石和雄 他3名: "軸力と曲げを受けるコンクリート充填鋼管柱の耐荷機構に関する研究" 土木学会第52回年次学術講演会概要集共通セッション. 140-141 (1997)