1997 Fiscal Year Annual Research Report
粘性土の非共軸性の定量化と極限解析への応用----応力と塑性ひずみ増分の主軸のずれの重要性----
Project/Area Number |
08650571
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
飯塚 敦 神戸大学, 工学部, 助教授 (40184361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 秀樹 金沢大学, 工学部, 教授 (80026187)
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Keywords | せん断変形 / せん断帯 / ひずみの局所化 / 非共軸性 / 土 / 水連成問題 / 強度 / 有限要素シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では,まず,正規圧密された粘性土供試体を軸圧縮せん断し,供試体内に発達するせん断帯の様子を観察した.次いで,有限変形理論に基づく土/水連成の弾塑性有限要素解析プログラムを開発し,平面ひずみ軸圧縮せん断のシミュレーションを行った.その結果,粘性土材料に発達するせん断帯は常に膨張を伴い,そのような局所変形が間隙水のマイグレーションを引き起こし,このマイグレーションがさらなるせん断帯の生成に支配的に影響を及ぼしていることがわかった.すなわち,間隙水のマイグレーションによって,せん断帯の生成モードが大きく変化する.また,供試体に発達するせん断帯の間隔には周期性がみられ,その周期性は境界条件によって変化することがわかった.通常の土質試験では,供試体の縦横比は2:1に取られることが多い.この場合,供試体が示すピーク強度は,供試体成型時の初期不整や間隙水のマイグレーシーンに支配されるせん断帯の生成モードの違いによらず,ほぼ一定の値をとることが明らかになり,現行の土質試験における規定を裏付けるものとなった.以上の成果は,数年前に他の研究グループによって先駆的に示された結果と符合しているが,有限要素解析手法の一層の精緻化をはかった結果,本研究では,より定量的で詳細な議論を可能としている.また,弾塑性速度場におけるせん断帯生成理論によれば,材料の構成関係における非共軸性がせん断帯の生成に強い影響を及ぼすことが明らかとなっている.従って,この非共軸性とダイレタンシーの関係も重要となる.本研究では,せん断に伴う体積変化(ダイレタンシー特性)の影響を考慮できるように,Hillに代表されるせん断帯生成理論の拡張をはかった.すなわち,ダイレタンシーを考慮して,せん断に伴って,せん断帯の幅の変化を許す理論を考えてみた.その結果,粘土材料の持つ非共軸性が,せん断帯の生成・発達に極めて強い影響を及ぼすことが予測された.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 太田秀樹 他: "軟弱地盤上に施工された高速道路盛土による変形とその数値シミュレーション" 地盤工学における逆解析の適用と施工管理に関するシンポジウム論文集. 123-132 (1997)
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[Publications] Goren,S. 他: "ジオシンセティックスで補強された盛土構造物の変形挙動" 地盤工学における逆解析の適用と施工管理に関するシンポジウム論文集. 145-150 (1997)
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[Publications] Ohta,H.et al.: "Seismic deamplifying effect of soft clay layer" Proc. of 14th International Conf.on Soil Mechanics and Foundation Eng.2. 859-862 (1997)
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[Publications] 小林一三他: "土/水連成有限要素解析に基づいた限界盛土高さ推定法" 土木学会論文集. 575/III-40. 207-217 (1997)
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[Publications] 森川嘉之他: "粘性工の等体積一面せん断強さ" 土木学会論文集. 582/III-41. 173-182 (1997)
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[Publications] Ohta,H.et al.: "Interpretation of in-situ and laboratory tests on soft clays" Proc. of Int. Conf.on Site Characterization. (1998)