市街地規模の熱環境の機構の把握と予測モデルの開発

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08650592
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Saitama University
• Principal Investigator: 浅枝 隆 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40134332)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): ヴ タンカ 埼玉大学, 工学部, 助教授 (60261880)
• Keywords: 舗装 / キャノピ- / 乱流モデル / 蒸発数 / ヒートアイランド

Research Abstract

本研究では、まず、都市域の重要な構成要素について周辺の熱環境に与える影響について評価した。ここでは舗装材について着目し、アスファルト、コンクリート、浸透性舗装、保水性舗装の熱特性を野外実験によって把握し、地中水分の蒸発効果の有する保水性舗装の大気の加熱に与える影響が最も小さいことを明らかにし、これを数値モデルによっても検証した(ヴ・浅枝・ユスフ,1996、他)。
次に、こうした様々な構成材料が立体的に組み合わさって形成されたストリートキャニオン等の熱環境評価を行った。ここでは、建物の背後の気流と熱の同時移動を考慮した3次元LESモデルを開発し、大気の瞬間的な熱環境の構造をシミュレートした。この解析において、地表面の状態をアスファルトと保水性舗装の2通りを用いて比較した。その結果、地上気温は日中で約2度の差が生ずると見積もられた(Vu,Asaeda,Ashie,1996、他)。
さらに、これを市街地スケールの評価に用いられる形にまで一般化するため、これまでに得られた情報を元に、市街地規模の気温、湿度の解析を行う際の境界条件となる地面、壁面、屋根面の熱交換を考慮した3次元のビルキャノピ-モデルを開発した。モデルを用いて、市街地規模の熱環境の特性を日変化の規模で再現し、実際に、1つの街区を実測し、モデルの有効性についても検討した(浅枝・藤野・ヴ・足永,1997、他)。
最後に、植生の熱・水分移動特性について、そのメカニズムを明らかにし、定量評価するためのモデルを現在開発し、その有効性を検証するための実測も行ってもいる。これを市街地スケールのモデルに組み込み、都市の熱環境の予測モデルを確立する予定である。

Research Products

• [Publications] ASAEDA T.,Ca V.T.and WAKEA: "Heat Storage of Pavement and its Efeect on the Lower Atmospher" Atmospheric Environment. 30・3. 413-427 (1996)
• [Publications] Vu.T.Ca,T.ASAEDA,Y.ASHIE: "Numerical Study on the Alternares for the Improvement of Urban Microclimate" The 14th Int.Conf.on Passive and Low Enargy Archi.2. 27-32 (1997)
• [Publications] Vu.T.Ca,T.Asaeda,N.Abe: "Evaporation at the porous pavement surface and its utilization for the improvement of summer arban thermal environment." Proc.Int.Conf.on Water Resources. 1. 157-164 (1996)
• [Publications] ヴタンカ・浅枝隆・ユスフムハマド: "地中水分の分散を利用した の舗装表面の温度緩和" 水工学論文集. 40. 449-454 (1996)
• [Publications] Vu.T.Ca,T.Asaeda,Y.Ashie,M.Tanka: "Study on the effects of pavement material on the microscale thermal enviroment" 風工学シンポジウム講演集. 14. 133-138 (1996)
• [Publications] 浅枝隆・藤野 ・ヴタンカ・足永靖: "都市キャノピ-モデルの街区スケールへの適用" 水文・水資源学会誌. 10・4(掲載予定). 9pp.- (1997)