1996 Fiscal Year Annual Research Report
遡上波先端を移動境界として考慮した波打ち帯流速場と前浜域地形変化に関する研究
Project/Area Number |
08650613
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
浅野 敏之 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (40111918)
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Keywords | 波打ち帯 / 漂砂 / 遡上波 / 浜崖 / 海浜変形 / 移動境界 |
Research Abstract |
波打ち帯の漂砂運動と地形変化に関する数値シミュレーションでは、特に陸上部の浸食を特徴的に表す浜崖の形成に着目して考察を行った。数値解析は海岸域の波高分布を半経験的にモデル化する方法と、海底地形の応答も含めて波浪変形を時間発展的に解く方法の2つの方法によった。どちらも遡上波先端を移動境界として数値解析することが特徴である。波打ち帯先端の地形の崩壊を含め、この領域の漂砂量分布をモデル化することによって、浜崖の数値的再現にかなりの程度成功したが、現地で見られる急峻な浜崖を再現するためには不連続に起こる地盤崩壊のアプローチが必要であることが認められた。 実験的な研究では、平面水槽において移動床実験を行い、着色砂をトレーサーとしてその移動状況から波打ち帯の漂砂量を測定した。この実験の作業は前年度に行われたが、本研究費の交付後、データ解析ならびに数値モデルとの比較検討によって信頼できるデータセットの形でまとめることができたので、その成果を平成8年9月の海岸工学国際会議、11月の海岸工学講演会で発表した。さらに引き続き、これらのデータに、既往の数多くのデータ、特に波打ち帯の漂砂量を系統的に測定したBodge(1987)のデータを加え、包括的な解析を行った。これらの漂砂量データが波打ち帯の波動・沿岸流などの外力から説明できないかを、これまで提案されている漂砂量公式との比較を通じて検討した。その結果、既往の漂砂量公式は、砕波帯においても砕波後の波の再生や海底地形の急変部では測定値を十分に説明せず、特に波打ち帯に対しては波や流れの外力を適切に評価できない形になっているため、測定値の再現が本質的に困難であることがわかった。したがって、波打ち帯に固有の漂砂量算定モデルを新たに確立する必要があり、現在この検討を進めている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 浅野敏之: "浜崖の形成過程に着目した2次元海浜変形に関する研究" 海浜工学論文集. 第43巻. 486-490 (1996)
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[Publications] 浅野敏之: "平面2次元波打ち帯での局所的砂移動に関する実験" 海岸工学論文集. 第43巻. 526-530 (1996)
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[Publications] Toshiyuki Asano: "Sediment transport in swash zone under obliquely incident waves" Proc.25th Inter.Conf.on Coastal Engrg. (1997)
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[Publications] 久保薫: "破波形態の相違に着目した波打ち帯の沿岸漂砂量の特性" 土木学会西部支部研究発表会概要集. (1997)